研究課題/領域番号 |
22K00172
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
増田 政史 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (50847134)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 神仏習合 / 本地仏 / 仏像 / 神像 / 南都 |
研究実績の概要 |
本年度の研究実績として、本研究が対象とする中世の前段階である平安時代の作例調査、および鎌倉時代の本地仏の作例調査を中心に実施し、神仏習合の様相について調査研究を進めた。 平安時代の作例調査については、京都の南山城地域に伝わる作例調査を行なった。南山城は京都でありながら古代より奈良の文化の影響を色濃く受けてきた地域で、独自の文化が展開した歴史を有する点が特色である。その地に伝来する神像や、もともとは神社の神宮寺に安置されていた仏像について熟覧・写真撮影を行なって基礎情報を取得し、また関連する文献史料を精読して、当時および当地における神仏習合の有り様について分析した。その一部を展覧会図録掲載の論文に反映した。 鎌倉時代の本地仏の作例調査については、奈良地域の寺院に伝来し、春日大社に祀られる若宮の本地仏として鎌倉時代に制作された仏像について熟覧・写真撮影を行なった。とくに対象作例について美術史研究の基本である作品の構造について詳細な情報を得られた。また、鎌倉時代の奈良においては、当時の僧侶たちによって本地仏の整理や理論の体系化など、神と仏の結びつきについて前代より明確化が進んだという特色があり、中世の神仏習合を考える上で最重要地域といえる。僧侶によって著述・撰述された文献も増えてくる時代であり、これらの文献資料についても精読・分析を進めた。これらについては今後、詳細に検討し、調査成果を公刊予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は具体的な作例調査を実施することができたが、その成果発表が不十分であった。次年度以降はこの点を改善して調査研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、本研究に関する重要作例の実地調査および文献史料の精査・精読を実施していく。また、本研究の成果は論文の公刊などで発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続き作例調査や文献精読を進めるため、調査に必要な機具・機材の購入、旅費などの費用、関連書籍の入手が必要になる。そのため、当該補助事業の延長および当該助成金の請求をするものである。
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