研究実績の概要 |
本研究は、従来のナショナルな言説の中で周縁化されてきた社会集団の美術を「境界のモダニズム」と名付け、越境的な比較美術史の見地から、沖縄と日系アメリカ人の美術を中心にその革新性と政治性を論じることを目的とする。 令和5年度は、9月にサンフランシスコに調査に出かけ、日系アメリカ人アーティストのTTタケモトに取材を行い、サンフランシスコアジア美術館でも調査を行うとともに、村上隆展個展「Murakami: Unfamiliar People: Swelling of Monsterized Human Ego」展のオープニングイベントに登壇した。その後訪れたニューヨークでもニューヨーク近代美術館やニューヨーク市立図書館で調査を行った。また11月に沖縄県立博物館・美術館で開催された照屋勇賢展の個展を調査し、インタヴュー成果も交えた照屋勇賢論を『美術手帖』2024年4月号(3月7日に刊行)に発表した。 公開した研究成果としては上述の照屋勇賢論と、村上隆個展の図録に発表した初期村上作品に関する論文「Hiropon Reloaded: Takashi Murakami and the Transformation of Otaku Subculture」がある。また3月に来日したジュリア・ブライアン=ウィルソン教授の講演会「Where Are the Art Workers? Art, Labor, and Gender in 1960s America」ではディスカッサントを務めた。
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