研究課題/領域番号 |
22K00191
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
肥田 路美 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00318718)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 道宣 / 霊験説話 / 安世高 / 神僧 / 中国仏教 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国の唐時代初期に活躍した道宣(596~667年)の著作『集神州三宝感通録』三巻のうち、「神僧感通録」として巻下に収録された後漢~南北朝時代の三十人の僧俗をめぐる霊験説話について、原文の訓読・現代語訳と、仏教美術史の観点からの詳細な注解をおこない、そこから抽出される問題を掘り下げて論ずることを目的としたものである。「神僧感通録」は三巻からなる『集神州三宝感通録』の掉尾に置かれており、本書全体を締め括って、晩年に至った道宣の仏教史観、信仰観を良く示している。したがって、本研究課題は、代表者が過去15年間にわたって継続してきた本書の釈読を総括する意味もあわせもつ。 初年度である22年度は神僧感通録の序と目録、著者が列挙した典拠・引用元、安世高条について、訳と注釈を進めた。またその前提として、本書のこれまでの諸篇の性格や叙述態度との一貫性や相違をさぐるべく、特に本篇の前におかれた瑞経録について、あらためて総括的な考察をおこなった。本年度の成果報告書は、『美術史料として読む『集神州三宝感通録』―釈読と研究―(十五)』として、2023年上半期に刊行予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果報告書にまとめることを年度の目標として東洋美術史、仏教美術、説話文学を専門とするPD、大学院生、学部生ら10余名との定期的な研究会方式により、計画的に進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は「神僧感通録」の朱士行、耆域、仏調、犍陀勒、抵世常、閻公則の各条について訓読、現代語訳、注釈をおこなう。東洋美術史、説話文学、仏教学、仏教史を専門とする大学院生ら有志との研究会方式で実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
22年度の成果報告書『美術史料として読む『集神州三宝感通録』―釈読と研究―(十五)』の編集作業が2023年4月にずれこんでしまったため、印刷製本費の支出が22年度内に間に合わなかったため。当成果報告書は2023年6月には刊行の見込みで、その時点で全額費消することとなり、本研究課題の実施の全体計画に支障はない。
|