現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水上勉の竹人形文楽の公演活動は3期に区分されるが(Ⅰ期は1978~80年の越前竹人形の会、Ⅱ期は1983~85年の竹芸、Ⅲ期は1986~現在に至る若州人形座の活動期間)、竹人形文楽の舞台仕様の変遷を調査するにあたり、先ず、作品ごとに実際に公演で使用された竹人形の選別と特定を行った。竹人形の造作仕様から竹人形の操作術が編み出されたという予見に基づき、そこから竹人形文楽の芸態の推定を試みる予定であったが、調査の過程で竹人形本体の使いまわしが一部認められ、作品ごとの竹人形の造作仕様に混乱が見られたため、改めて初演時の使用竹人形の選定から再調査した。また、並行して、竹人形文楽の公演記録映像の収集を行った。2000年以降の公演については残っている映像記録を作品ごとに分類整理したが、2000年以前の公演は記録が少なく、また、わずかに散見される映像資料の断片も、そのほとんどがVHSビデオ形式であったため、映像のデジタル化を進めながら保存作業を行った。さらに、2月には若州人形座座長と座員1名の聴き取り調査を実施した。その結果、竹人形文楽「はなれ瞽女おりん」初演時の演出方法および芝居内容について、出演当事者による貴重な証言を得ることができた。3月には若州一滴文庫の協力の下、一滴文庫の旧蔵資料の調査を行い、現有公演資料の確認を行った。 研究初年度は、上述の調査結果をふまえて論文1本の発表と学会発表を1回行った。 〈論文〉「竹人形文楽『はなれ瞽女おりん』における『影』を使ったキャラクター表現の演出意義と効果について」(査読付),尚美学園大学芸術情報研究 第35号pp.1ー19,2023.12 〈学会発表〉「竹人形文楽を活用した教育プログラム試案 ~協働する力の育成を中心にして~」,第19回和文化教育全国大会,2023.11
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