研究課題/領域番号 |
22K00224
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
西尾 康之 東京藝術大学, 美術学部, 准教授 (60895887)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 検証技術の取得完了 / 実証サンプルの取得達成 / 仮想空間内実験場構築 / 検証準備対応 / 3Dスキャニング技術構築 / 仮想空間での塑像芸術 |
研究実績の概要 |
塑造藝術の仮想空間への移行検証を行う前提として必要な、本研究の中心的実験を行った。芸術的な表示品質を保証する数値的範囲の獲得を目指して、実験の準備をし、多数の被験者を動員しモニターテストを行った。そしてその結果を分析し様々な結論を得ることが出来た。 実験の準備として、検証モデルを18点を製作し、前年度に確立させていた3Dスキャニング技術によって立体データに変換し、メタバースの検証空間に配置して品質検証するため、各像それぞれの品質階層を20段に設けて数百体の試験モデルを用意した。 外注エンジニアの協力によりメタバース内に実験場を構築した。当研究室内に導入回線を2系統設置して、試験管理者と被験者の2名が研究室のヘッドマウントディスプレイ等の設備を利用してメタバース試験場に入室し、オペレーションを行う。品質の差違を認識出来るデータ量的なボーダーの発見を目的とし、実験記録の書式を造り実験結果を保存した。 明確な成立域が見つけられ、また、立体美術展示物の各ファクターにおいても興味深い収斂が認められた。現在の被験者数は27名、差若年齢20歳、最高年齢88歳。今後もメタバースでの試験会場は運用を続け、様々な実験を行ってゆく。 分析されたデータはメタバースに設置されている展示会場に順次導入されて、鑑賞実績として検証を続けている。当初予定していた通りの順調な進行状態ではあるが、検証実験によって新しく発見されるファクターも多く、研究仕事量は増えている。また、メタバースは表現環境として更新の速度が速いジャンルでもある為、その更新に合わせて機材や内容を改変する作業も多い。次年度は結果をより明確にする事を目的として作業を管理する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究で取得目標としていた仮想空間での品質保証データが予定通り取得できた。仮想空間に設けた実験場の運用性能が高く、実験の合理化が図れた。被験者が協力的、且つ応募数も十分だったことなど好条件が重なり、当初は各被験者ごとに長時間を要する実験であるために、困難が多く懸念されていたが、順調に進めることが出来た。また、その過程で様々な予定外の発見があり、品質保証の確度を想定以上に高めることに寄与しつつある。 次年度に予定していた仮想空間内での塑像芸術の展開についても、全ての準備を終えて展示場を開き、順次展示検証を行い始めている。 以上により、当初計画していた以上の成果を達成しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
既に取得された品質保証の数値を元に、順次展示作業を行い、仮想空間内の展示場を充実させてゆく。平行して塑像作品のスキャニングを続け、品質保証の検証実験も適時行う。 展示物としての塑像本体については移行検証に必要な数値的基準が多く取得されてきた。ポリゴン数、テクスチャー解像度、シェーディングの有無とその品質、等の各ボーダー。展示室に出品されている作品に、判明した数値的結論を順次適応させてゆく。 仮想空間内展示室のロケーションを充実させる様々な技術を導入し、芸術性を高める工夫を重ねてゆく。展示室のデザイン、光源の種類、テクスチャーの工夫、情報軽量化の工夫等、新技術の導入を進める。 仮想空間への塑像芸術の移行について十分な美術情緒の提供を達成し、その鑑賞実績をスタートさせる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当年度予定していた予算を執行した端数として若干の余分が発生した。額が少額な為に使用する事が出来なかったが、次年度分として若干の不足分に対応できると考えている。
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