研究課題/領域番号 |
22K00255
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
松谷 容作 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (60628478)
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研究分担者 |
岩城 覚久 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (60725076)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 感性論 / 宇宙科学 / メディア論 / アート実践 |
研究実績の概要 |
今年度は「文化・人文社会科学利用パイロットミッション」でアート実験を実施したテーマ代表者の現在の状況(インタビューの実施が可能であるか否かを含めて)をまず整理し、すでにインタビューを実施したものについてはその整理を行なった。また、このパイロットミッションと関連する、またその背景となるような科学分野およびアート分野の専門家へのインタビューの実施とインタビューの整理を行なった。具体的には古賀一男氏(実験心理学)のインタビューの整理、また大平充宣氏(神経・筋生理学、重力生理学)へのインタビューとレクチャー、以倉新氏(美術館学芸員)である。 またマサチューセッツ工科大学のメディアラボで展開しているアート、宇宙、科学を連関づけるプロジェクトの資料を精査し、「文化・人文社会科学利用パイロットミッション」との共通性と差異を整理した。なお、このメディアラボで、アーティストでもあるマギー・コブレンツ氏を中心にして展開されているプロジェクト「The Interplanetary Cookbook」については、氏と近い関係にあるアーティスト、マヤ・ミンダー氏からも口頭で情報を提供いただき、よりプロジェクトの内容を明らかにすることができた。コブレンツ氏とは次年度以降にコンタクトを取り、インタビューなどを実施する予定である。 以上の2022年度の成果を含めた研究報告を、研究代表者はブラジルで2023年7月24日から28日にかけて開催される国際学会「22nd International Congress of Aesthetics」で「Encounter with the Moon: Ethics and Aesthetics of the Post-Earth Era」というタイトルの下で公表する。この発表についてはすでに学会のピアレビューを受けて、それを通過している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「文化・人文社会科学利用パイロットミッション」でアート実験を実施したテーマ代表者のインタビューについては、テーマ代表者の現在の諸状況があり、実施が困難なものが多々あった。また研究代表者が所属先を移動したこともあり、研究分担者と年度の初めに当初の計画を見直し、研究が円滑に進むように調整を行なった。それにより今年度は、すでに実施したテーマ代表者へのインタビューの整理(宮永美知子氏)、およびパイロットミッションと関連する、またその背景となるような科学分野およびアート分野の専門家へのインタビューの実施とその整理を中心的に行ない、非常に充実した成果を得ることができた。加えて、現在のアーティストたちに向けたインタビュー実施の計画も完了し、次年度より随時インタビューを実施できる状態になった。以上より、インタビュー調査については順調に進んでいると言える。 またアート、宇宙、科学を連関づけるプロジェクトの資料調査については、マサチューセッツ工科大学のメディアラボのプロジェクトを精査し、かつそのプロジェクトに関連する方々との意見交換を実施できた。故に、資料調査についてもおおむね順調に進展していると言える。 最後に、ここまでの成果報告であるが、本来であれば研究代表者と分担者は2022年度に開催予定の国際学会「22nd International Congress of Aesthetics」で研究成果を口頭発表で公表する予定であった。だが、新型コロナウイルス感染症の感染対策として、学会開催が1年延期になったため、発表をすることができなかった。ただし、2023年の夏には上記の発表を実施する予定であり、またその他の論文や口頭発表などで、部分的に研究の成果をすでに行なっている。以上より、成果報告もおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査については「文化・人文社会科学利用パイロットミッション」でアート実験を実施したテーマ代表者である福嶋敬恭氏、松井紫朗氏、逢坂卓郎氏などへ実施する予定である(福嶋氏と逢坂氏は高齢者となるため、負担がない実施を計画する)。またパイロットミッションと直接的に関連するデザイナーである尾登誠一氏へのインタビューも実施する予定である。加えて、現在のアーティストや科学者たちに向けた短いインタビューも実施する予定である。それらにより、当時の宇宙実験の目的、プロセス、成果の確認と、現在の視点による検証を実施し、また現在のアートや科学の観点から各実験をレビューし、まとめることができる。 資料調査については、マサチューセッツ工科大学のメディアラボで展開している宇宙の諸々のプロジェクト、特に「The Interplanetary Cookbook」についてさらに調査を進めていく。また欧州宇宙機関でのアートプロジェクトも同時に調査を進めていく。加えて、上記「The Interplanetary Cookbook」を展開しているマギー・コブレンツ氏とコンタクトを取り、インタビューなどを実施する予定である。 以上の成果を含めたここまでの成果を国際学会「22nd International Congress of Aesthetics」で研究代表者および分担者は公表する予定である。また、国内外の学会などでも、成果の一部を口頭発表あるいは論文として公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予定していたインタビュー調査がインタビューイの事情により実現できなかった。また計画していたブラジルでの学会発表も新型コロナウィルスの感染対策として学会が次年度に延期になったので、実現できなかった。上記の謝礼や旅費に当たるものが次年度使用額となる。 上記の2022年度に実現できなかったものは2023年度に全て実施する。よって、次年度使用額はその謝礼および旅費などにあてる。
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