研究課題/領域番号 |
22K00260
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研究機関 | 開志専門職大学 |
研究代表者 |
木村 智哉 開志専門職大学, アニメ・マンガ学部, 准教授 (30636030)
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研究分担者 |
Kim JoonYang 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (00749955)
神村 幸子 開志専門職大学, アニメ・マンガ学部, 客員教授 (40512215)
松永 伸太朗 長野大学, 企業情報学部, 准教授 (80847509)
高嶋 洋一 開志専門職大学, 情報学部, 教授 (90539355)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アニメーション / アーカイブ / 情報処理 / 労働 / インタビュー調査 |
研究実績の概要 |
インタビュー班ではまず、2023年度に計5名(男性3名、女性2名)のアニメーターへのヒアリングを実施した。2022年度のインタビュイーを含め、相互に重なる時期や職場、関係する作品のある対象を確保できたため、クロスチェックの意味でも有意義な調査を実施できた。特にアニメーター特有の技術観が、作業量や質をめぐる評価体系と強い関連性を持っていること、それがアニメーターのキャリア継続を可能とする資源となっていることなどが、ヒアリング成果から浮かび上がってきた。また、アニメーターをはじめとした制作者とマネジメント職との間にある業務負担の認識のギャップやその乗り越えについても検討を行った。加えて、多くのインタビュイーのキャリアの初期とも重なる1980年代のテレビアニメ中間素材(主に絵コンテおよび原画)を精査することで、制作現場で投じられる労力の具体的な総量を検証した。 計測班では、計測用素材の十分な種類と量を確保することに重点を置いた。昨年度に不足していたタイプの素材の補強を念頭に、計測用線画のデータ制作を行い、実際の計測プログラム検証用に提供した。これにより計測用の線画発注が全て完了し、引き続き計測プログラムのアップデートがすすめられた。その過程で特に、黒以外の色で引かれた線や、斜めに引かれるなどによりピクセル数が変化している可能性のある線を、正確に処理するための検討が必要であることが浮かび上がった。また同時に、作業工数に関するヒアリング調査を動画マンへ独自に実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インタビュー班については2年目までに8名程度のヒアリングを想定していたところ、9名への実施が完了し、また別途制作進行への調査なども行えたため、当初の計画以上の進展が見られたと言える。一方で計測班では、より厳密なデータを計測するためのプログラムの検証に、かなりの工数が必要であることが分かり、やや遅れが見られる。またそのため、インタビュー班の調査への成果反映は、ごく一部の仮説を適用するに留まっている。しかし研究プロジェクト全体の進捗としては、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は報告書の編集・刊行と、学会等での発表により、研究成果をアカデミアおよび社会一般に還元することをはかる。アニメ制作現場の人員および中間素材管理の実態についてのこれまでのヒアリング調査成果を分析しつつ、計測班の分析と合わせて、作画など特定の制作工程における労働力を具体的に捉える成果につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー班においては予定していた件数の調査が完了しているものの、さらに追加して行う想定の調査のうち年度末までに完了しなかったものがあり、若干の次年度使用額が生じた。また計測班においても僅かに次年度使用額が発生しているが、これは予定金額と業者発注金額との微差によるもので、次年度に問題なく執行可能である。
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