研究課題/領域番号 |
22K00263
|
研究機関 | 京都芸術大学 |
研究代表者 |
大西 宏志 京都芸術大学, 芸術学部, 教授 (90351361)
|
研究分担者 |
福本 隆司 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (80772912)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 広島国際アニメーションフェスティバル / スタジオロータス / 木下蓮三 / 木下小夜子 / クリヨウジ |
研究実績の概要 |
2022年度は、(株)スタジオロータスに保管されていた広島国際アニメーションフェスティバル(以下、広島大会)関連資料の調査とクリヨウジ氏への聴き取り調査を実施した。 (株)スタジオロータスは、広島大会の設立と運営の中核を担った故・木下蓮三氏と木下小夜子氏の活動拠点であり、ASIFA-JAPAN(国際アニメーションフィルム協会日本支部)の事務局機能と広島大会の東京事務所機能も担ってきた。ここに、広島大会を第一回大会から公認してきたASIFA(国際アニメーションフィルム協会)および共催団体であったASIFA-JAPANに関する資料、広島大会の運営に関する資料、国内外数千本の映像資料、同じく60年代から現在に至るアニメーション関連の書籍・雑誌および映画祭カタログ等が収集されていることが分かり、映像資料のデジタル化と紙資料の整理に着手した。映像資料にはVHSやDVD等の民生用メディアとβカムや35mmフィルム等の業務用メディアがあり、民生用メディアは京都芸術大学に移して保管およびデジタル化を、業務用メディアのうちビデオテープは神奈川工科大学で保管およびデジタル化のためのシステム構築を進めている。なお、フィルムは目録を作成した後に国立映画アーカイブに寄贈する予定である。映像資料の中には1985年の第一回大会を取材したテレビ番組があり、木下蓮三氏と木下小夜子氏がどの様な想いでフェスティバルを設立したか、また当時のテレビメディアがいかに高い関心を示していたか、臨場感をもって伝わってくる資料を発掘することができた。 クリヨウジ氏は広島大会の設立当時を知るアニメーション作家であり木下蓮三氏の盟友である。クリ氏には彼自身と広島大会との関わりに加えて初期の広島大会に参加した著名作家の当時の動向について聴く事ができた。その内容については、研究倫理に基づく適切な手続きを経た後に公開することにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
木下小夜子氏への取材を軸にして研究を進める計画だったが、小夜子氏の体調不良が続いたため研究方法を以下の様に変更した。まず、(株)スタジオロータスが保管していた資料の調査と広島大会に主要な役割を持って関わった人物への取材を行い、その後、内容の確認を兼ねて小夜子氏への取材を行うことにした。さらに資料の調査を進める過程で、その膨大さと情報量の多さに気付かされることになり、広島大会が行われた36年間の全ての期間をカバーすることを目的とすると表層的な研究で終わってしまう懸念も生じた。そこで、研究班のメンバーで議論を重ね研究計画の見直しを行った。その結果、まず当時を知る関係者が減りつつあるⅠ.準備期[1972年-1985年]および第二回大会[1987年]頃に焦点を絞って取材を進めることにした。これらの事情により、当初の計画から遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度に行った研究計画の変更に基づいて2023年度も研究を継続してゆく予定である。2023年度には、(株)スタジオロータスから京都芸術大学および神奈川工科大学に移した資料の調査と広島大会設立当時を経験している人物への取材を中心に行う。特に、海外での取材に注力する予定である。そして最終年度は、それまでに行った調査をもとに作成したリポートを木下小夜子氏に確認してもらいオーラルヒストリーとしてまとめることを目標とする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、主たる取材対象の体調不良が長引いたことと研究課題に関連する膨大な資料がみつかったため、インタビュー取材よりも資料整理を中心に研究を進めた。そのため、当初予定していた謝金や交通費への支出が少なくなった。 上記の理由から2023年度は研究の方法とスケジュールを見直し、広島国際アニメーションフェスティバル設立当時を知る関係者、なかでも特にASIFA(国際アニメーションフィルム協会)の重鎮への取材を中心に置く事にした。 次年度使用額と2023年度の助成金を合わせた予算で、6月に行われるアヌシー国際アニメーションフェスティバルに参加しASIFAの関係者への取材を実施すると共に、2022年度に引続き資料整理とその分析、また国内の関係者への取材を実施する。
|