研究課題/領域番号 |
22K00277
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
礒部 太一 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00724999)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ジェロンテクノロジー / アップストリーム・エンゲージメント / 倫理的・社会的問題 |
研究実績の概要 |
科学技術社会論の研究分野において、科学技術と社会の関係性についてこれまで研究蓄積が行われてきたが、老年期の人々と科学技術との関係やジェロンテクノロジー(高齢者のための生活自立支援技術の研究:特に医療・福祉用ロボット)を対象とした研究蓄積は充分なされてこなかった。科学技術社会論分野においては、社会に実装される段階以前の研究開発段階にある萌芽的な科学技術(emerging technology)に対して、できるだけ早い段階において市民などの非専門家が関与することで、市民的価値など多様な価値観を当該科学技術に反映させる必要性がアップストリーム・エンゲージメントとして指摘されている。このような背景のもと、本研究全体としては、科学技術社会論におけるアップストリーム・エンゲージメントの研究蓄積を基盤とし、ジェロンテクノロジーに着目することで、老年期の人々とジェロンテクノロジー研究開発者がどのようにジェロンテクノロジーを認識し、どのような技術の開発が望まれているのかについて明らかにすることを目的とする。 本年度においては、高齢者の科学技術への認識を広く探るための、質問紙を用いた量的調査のための事前準備を行った。調査票の質問内容は、社会・経済的属性、一般的な科学技術への信頼度や親和性、科学技術への市民参加の意思、死生観、QOL、ジェロンテクノロジーへの認識などを想定している。また、ジェロンテクノロジー関連項目としては、ジェロンテクノロジーについての認識・使用経験、医療・福祉ロボットへの認識、ロボットへの愛着、ロボットとの距離感、ロボットとの恊働、ロボット研究への期待などを想定している。このような内容をもとに質問項目案を策定した。また、関連する文献などについても調査することで、研究全体を遂行する上での地盤を築いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度においては、高齢者の科学技術への認識を広く探るための、質問紙を用いた量的調査のための事前準備として、質問項目案を策定できたことは十分な進捗に値する。また、関連する文献などについても調査することで、研究全体を遂行する上での地盤を築けたことも進捗状況としては望ましいものである。その一方で、実際の質問紙調査を実施できなかったことは、進捗状況として予定よりも少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、高齢者の科学技術への認識を広く探るための質問紙を用いた量的調査を実施することを予定している。また、老年期の人々とジェロンテクノロジー研究開発者へのインタビュー調査の準備を進めることも計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
郵送による質問紙調査を予定していたが、今年度はその準備を進めたが実際の調査を実施するまでには至らなかった。そのため、調査費用を使用しなかった分の次年度使用額が生じた。
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