研究課題/領域番号 |
22K00285
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
菅原 慎悦 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (70638006)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 専門知 / 原子力安全 / リスク / 認識論的不確かさ / 不定性 |
研究実績の概要 |
本研究は、専門家の間で意見が大きくばらつくようなリスク問題について、リスク分析を支える専門知の不定性への対処のあり方を、科学技術社会学的に検討しようとするものである。初年度である本年度はその出発点として、科学技術社会学やSTS分野における専門知の不定性や認識論的不確かさに関する議論(J.Downerの'epistemic accident'など)を読み込んだほか、関連する人文学分野の議論をも参照した(Gendlinの'inging'など)。加えて、近年のリスク学における国際的な議論動向をレビューし、リスク分析を成り立たせている知識の側面に従来よりも焦点を当て、リスクの特徴づけ(risk characterization)において「知識の強さ」(strength of knowledge)をより明示的に考慮しようとする流れが顕著であることを見出した(T.Avenの諸論考など)。これらの検討内容を踏まえつつ、申請者がこれまで取り組んできた原子力分野における安全問題(安全目標やリスク評価をめぐる課題)について試行的な検討を加え、国内学会にて口頭発表を行った(安全目標と継続的安全性向上に関する考察(日本リスク学会)、「想定」の打破に向けた体系的アプローチの検討(科学社会学会))。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に着手したばかりであるため、論文という形での成果表出にまでは至っていないものの、関連分野の先行研究の収集・レビューは比較的順調に進んでいると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、COVID-19の影響が小さくなり、国外出張等の制約が緩和されることが予想されるため、国内外の学会等に積極的に参加し、関連研究者との議論を深めるとともに、成果表出を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度はCOVID-19の影響で国際学会への参加を控えたことから、旅費を中心に次年度使用額が生じた。2023年度は国際学会等への積極的参加を予定している。
|