研究課題/領域番号 |
22K00286
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
高岩 義信 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 協力研究員 (10206708)
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研究分担者 |
平田 光司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, ダイヤモンドフェロー (90173236)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 高エネルギー物理学研究者組織の形成 / 原子核研究将来計画 / 加速器機種の選定 / 宇宙線超高エネルギー / 宇宙線研究拡充計画 / 日本学術会議 |
研究実績の概要 |
予備的なものを含むこれまでの調査をもとに、1960~1970年代の「原子核研究将来計画」における高エネルギー加速器の決定にかかわる経緯および日本の高エネルギー物理学研究者集団の組織化の関係に関するトピックスを取り上げて、日本科学史学会、日本物理学会、Asia Pacific Physics Conference (APPC15), 科学技術社会論学会で一般講演の発表を行った。APPC15 の講演については Proceedings への掲載が承認された。 それと並行して、「将来計画」の経緯の理解をベースとして、本課題の主たる目標につながる、加速器による高エネルギー素粒子物理学実験の研究と宇宙線の観測による超高エネルギーの素粒子反応の研究の、それぞれの研究者組織の関係とその後の高エネルギー物理学研究所 (KEK) の成立から東京大学宇宙線研究所 (ICRR) の設置に至る経緯、さらには関連分野としての低エネルギー原子核実験の将来計画および、高エネルギー物理と宇宙線研究の拠点が他所にできた後の東京大学原子核研究所自身の将来計画の進め方への影響を念頭に、高エネルギー加速器研究機構(史料室)および東京大学・宇宙線研究所(広報室)において資料調査を行った。1970年代初期は、日本学術会議および文部省の新たな改革方針と相まって、物理学のとくに原子核・素粒子関連の研究者組織の活動の転換点となったことの検証を試みる基礎となると予想している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの事前研究の蓄積が今後の方針への展望を助けるものとなって、今後の研究の方向を確認することに良い指針が得られている。初年度の成果としては満足のいくものと評価している。 ただし、研究機関においてその歴史的な資料が必ずしもシステマティックに保存されていないことはある程度予想はされていたが、それを補うような研究者組織の記録の所在確認または当時の関係者を対象としたへインタビューによる聞き取り調査等の必要性が確認されたと言える。 また、東京大学および文部科学省(旧文部省)など関連する公的機関の記録資料の調査による確認が必要であろうことも認識された。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き関連する研究機関および公的な機関において資料調査を進め、当時の関係者を対象とする調査も並行して行う。 また、これまで高エネルギー物理学とそれに直接かかわる分野に注目して考察を加えてきたが、近隣分野である低エネルギー核物理および宇宙線物理全般へと視野を拡大し、さらにはそれ以外の研究分野の将来計画の進め方まで対象として調査を進める。それによって、文部省および関連の機関・省庁の役割を大局的に理解することに努める。とりわけて、KEKの設立まで影響力を持っていた日本学術会議の原子核特別委員会は1972年に解消されることと、学術審議会の設置に見られる文部省の学術政策の拡充方針の展開が、その後に提案されるこの分野および様々な他の分野の将来計画の進め方にどのような影響・変化があったのか考察を深めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料調査等の旅行計画が予定通り進められなかったため旅費の支出が予定より大幅にすくなかった。 今後のインタビューを含めた調査を進めるので、インタビュー用の資材・機器と出張旅費に使用する予定である。
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