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2022 年度 実施状況報告書

天保俳諧再評価のための新研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K00327
研究機関立正大学

研究代表者

伊藤 善隆  立正大学, 文学部, 教授 (30287940)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード俳諧 / 俳画 / 美濃派 / 雑俳 / 弘前俳壇 / 松木淡々 / 井原西鶴
研究実績の概要

資料調査の主な成果として、松木淡々の百回忌追善集である橡実庵一枝編『翁くさ集』、大坂で活動した美濃派の桂影舎露葉が自らの四十賀を記念して刊行した『こゝろの杖』、また津軽弘前の俳人合歓舎友山が、やはり自らの古稀を記念して刊行した絵俳書『〔年賀歌仙集〕』を翻刻・紹介することができた。なお、『〔年賀歌仙集〕』は、刊記に「津軽弘前鐵炮町/岡野屋哥卿板」とあるとおり、地方版の絵俳書として、貴重な資料である。
また、研究の比較的手薄な芭蕉没後の上方俳壇に関する資料として、李梅編『〔馬〕』に関する調査研究成果を発表した。同書には西鶴十三回忌追善の連句が掲載されており、北条団水編『こゝろ葉』との関連においても注目すべき資料である。そのため、旧蔵者の松岡満夫氏に翻刻紹介が行われていた(「「馬」―西鶴十三つ忌追善俳諧集の一つ―」『創立十周年 記念論文集』京都府立大学女子短期大学部、昭和36年12月)ものの、同稿は国文学研究資料館の「国文学論文目録データベース」にも収載されておらず、その後の研究で取り上げられることがなかった。そこで、あらためて、同書を影印に付すとともに、松岡氏以後の研究で明らかになった諸事象を踏まえ、同書の特徴や上方俳壇の動向ついてあらたに検討を加えた。
また、近世後期の伊賀俳壇に関する調査や、雑俳書の意匠に関する調査を行い、近世後期の俳画作品を多く展示した「2022年度特別展「俳画の楽しみ Enjoy HAIGA」(江東区芭蕉記念館)の監修を務めるなどした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

俳人(宗匠)の伝記的事項が判明する俳書の調査の成果として『翁くさ集』『こゝろの杖』『〔年賀歌仙集〕』『〔馬〕』の調査を進めることができた。また、当時の俳壇状況を知ることのできる摺物などの調査も合わせて進めることができた。
さらに、俳画の展示に関わったことで美術史研究者から意見をうかがうことができ、近世後期の伊賀俳壇に関する調査を行うことで、歴史研究者から意見をうかがうこともできた。
すなわち、資料調査を進めることができ、さらにあらたに他領域の研究者の意見を知ることができたことから、おおむね順調に進展していると考えることができる。

今後の研究の推進方策

今後もこれまでと同様の方法・方針で研究を進める。現在調査中の資料や、未着手ながら調査可能な資料もいくつか把握しているため、これまでと同様の方法・方針で研究を進めることが可能であり、適切であると考えている。

次年度使用額が生じた理由

PCの購入を予定していたが、適切な価格と機能で折り合うものがなかったため、購入を先送りとした。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「西鶴十三回忌『〔馬〕』について」2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 雑誌名

      『連歌俳諧研究』

      巻: 第144号 ページ: 30-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「桂影舎露葉編『こゝろの杖』」2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 雑誌名

      『立正大学文学部研究紀要』

      巻: 第39号 ページ: 五七-六九

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「友山古稀記念集『〔年賀歌仙集〕』」2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 雑誌名

      『立正大学人文科学研究所年報』

      巻: 第60号 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「近世初期林家林門における明末文化受容―書物による文化接触の一齣―」2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 雑誌名

      『海外学術大会 東アジアの知識交流と歴史記憶:文化接触と相互認識』

      巻: - ページ: 71-82

    • 国際共著
  • [雑誌論文] 「李梅編『〔馬〕』―西鶴十三回忌追善連句―」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 雑誌名

      『近世文芸 研究と評論』

      巻: 第102号 ページ: 114-122

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「享保時代俳人大観(二)」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆・稲葉有祐・金子俊之・佐藤勝明・真島望
    • 雑誌名

      『近世文芸 研究と評論』

      巻: 第102号 ページ: 123-164

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「第三講 俳句鑑賞(蕉門十哲)」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 雑誌名

      『令和4年 第六十七回 夏期吟道大学講座』

      巻: - ページ: 14-25

  • [雑誌論文] 「問題提起22 近世後期における俳人たちの交流―人名録・番付に見る伊賀俳人―」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 雑誌名

      『地方史研究』

      巻: 第419号 ページ: 13-17

  • [雑誌論文] 「俳画を楽しむ」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 雑誌名

      「公明新聞」

      巻: 2022年11月20日版 ページ: 1

  • [雑誌論文] 「『新みなし栗』「唐がらし」歌仙分析」2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤勝明・伊藤善隆・玉城司・服部直子・鹿島美里・稲葉有祐・真島望・永田英理・髙井悠子
    • 雑誌名

      『近世文芸 研究と評論』

      巻: 第103号 ページ: 103-121

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「享保時代俳人大観(三)」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆・稲葉有祐・金子俊之・佐藤勝明・真島望
    • 雑誌名

      『近世文芸 研究と評論』

      巻: 第103号 ページ: 150-182

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「橡実庵一枝編『翁くさ集』」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 雑誌名

      『山陰研究』

      巻: 第15号 ページ: 六一-七〇

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 「近世初期林家林門における明末文化受容―書物による文化接触の一齣―」2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 学会等名
      檀国大学日本研究所 HK+事業団海外学術大会「東アジアの知識交流と歴史記憶:文化接触と相互認識」
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「西鶴十三回忌『〔馬〕』について―松岡説を手掛かりに―」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 学会等名
      俳文学会東京研究例会 第457回
  • [学会発表] 「俳句鑑賞(蕉門十哲)」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 学会等名
      公益社団法人日本詩吟学院「令和4年 第67回夏季吟道大学講座」
    • 招待講演
  • [学会発表] 「西鶴十三回忌『〔馬〕』について」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 学会等名
      俳文学会第73回全国大会
  • [学会発表] 「俳画の楽しみ方―知られざる俳画賛の世界―」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 学会等名
      江東区芭蕉記念館特別展「俳画の楽しみ Enjoy HAIGA」関連講演会
  • [学会発表] 「絵入り雑俳書の意匠―絵俳書の史的展開とその一齣―」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 学会等名
      立正大学人文科学研究所令和4年度第2回定例発表会
  • [学会発表] 「俳画研究の意義―「俳画の楽しみ Enjoy HAIGA」展によせて―」2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤善隆
    • 学会等名
      俳文学会東京研究例会 第462回
  • [図書] 『蝶夢全集 続』2022

    • 著者名/発表者名
      田中道雄・田坂英俊・玉城司・中森康之・伊藤善隆
    • 総ページ数
      917
    • 出版者
      和泉書院
    • ISBN
      978-4-7576-1050-7

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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