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2022 年度 実施状況報告書

昭和十年代における「国学的なるもの」の興隆と衰亡

研究課題

研究課題/領域番号 22K00330
研究機関皇學館大学

研究代表者

田中 康二  皇學館大学, 文学部, 教授 (90269647)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード国生み神話 / 日米開戦 / 領土拡大政策 / 大東亜共栄圏 / 敗戦
研究実績の概要

「国学的なるもの」が先の大戦中にいかに取り上げられ、もてはやされた揚げ句、敗戦を契機として忌避され、忘却された経緯と実態の解明を目指す研究の一年目である。本年度は「国生み神話」を取り上げ、『古事記』や『日本書紀』に見える当該神話が開戦を経て、盛んに言及され、他国への侵攻や大東亜共栄圏設立の理論的根拠と見なされるようになった。要するに、神代以来、日本は国生み・国造り・国譲りによって国土を増やしてきたという「国生み神話」を近代の戦時に当てはめ、外国を日本の領土とすることは神話に記されているとされたのである。やがて、さかのぼって昭和8年の満洲国建国においても「国生み神話」が適用されるようになった。始まりは軍人政治家の発言であるが、すぐに文学者が詩や歌に詠み、新聞をはじめとするマスコミに取り上げられた。哲学者はそれを理論的に裏付けをし、国文学者は古典研究を戦時の現状に結びつけた。やがて「国生み神話」は小学校の国語・国史・地理・修身の教科書に登場した。そうして、敗戦を経て、あれほどまで盛んに話題にされた「国生み神話」はマスコミから黙殺され、アカデミズムからは攻撃の対象とされ、教育現場から姿を消した。
また、国学の大成者とされる本居宣長について、その言説をめぐって現代的な観点からどのように考えることができるか、という点について考察した。近世と近代を隔てるものは何だったのかというアングルから、宣長が繰り返した論争について考察を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該課題について、調査・研究は一定程度進み、活字媒体での発表もできた。

今後の研究の推進方策

「国学的なるもの」が示す内容は広く、今後は歴史の各時代を彩ったイデオロギーが戦時中に復活し、隆盛を極め、祭主的には戦後、消滅した経緯について、具体的なコンセプトに即して進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

2022年度に計画していた、国立国会図書館等への資料調査が、新型コロナウイルス感染症拡大による混乱を避けるために、やむなく中止することとした。2023年度は医療的評価が通常の感染症並みになるため、東京への資料調査が可能になると思われる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 国生み神話の敗戦―「国学的なるもの」の表象をめぐって(その一)2023

    • 著者名/発表者名
      田中 康二
    • 雑誌名

      皇學館大学紀要

      巻: 61 ページ: 1-57

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 本居宣長における論争2023

    • 著者名/発表者名
      田中 康二
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 25 ページ: 75-89

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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