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2022 年度 実施状況報告書

清代の書論における図譜の展開の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K00359
研究機関筑波大学

研究代表者

高橋 佑太  筑波大学, 芸術系, 准教授 (30803324)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード図譜 / 金石学 / 書法指南 / 双鉤 / 筆の持ち方
研究実績の概要

本研究は、語句や内容の研究が主流である書論研究に対して、これまで付随的であった「図譜」に着目し、その図譜が書論の内容に与えた影響や清代における図譜の展開を明らかにすることを目的とし、これにより新たな書論研究の可能性を目指すものである。
現段階では、①宋代からの伝統的な学問である、金石学という歴史的側面、②書法の技法を伝授する書法指南書という教育的側面の2つの観点を柱とし、研究を進めている。
2022年度は、上記2つの視点である、金石学、書法指南について、研究の基礎を築くべく、図譜をそなえた書論のリストアップを行った。
目下、特筆すべき点として、①金石学については、「写す」という学習法が一定程度、普及していたことから、文字を籠字にとる「双鉤」法を駆使した書論の新出があげられる。これについては以降の写真図版が普及する以前の、図譜をそなえた書論における特筆すべき現象ということができる。また②書法指南については、清代において活発に議論された筆法論も関連してか、筆の持ち方を図示した書論の新出も指摘できる。また元代に初出を確認できる、文字の筆順を示した書論については、明代以降ほぼ見られなかったにも関わらず、清代の複数の書論で確認することができた。この理由についても今後、更に考究していきたい。また近年、着目されつつある江戸時代の市河米庵の書論についても、上記①の影響ともいえる現象が想定される。これについて、江戸時代における中国書論の受容という観点からも考察を進めていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度は、本研究の基礎を固めるべく、図譜を備えた書論のリストアップに終始してしまい、その内容的な考察にまで至らなかったため。また海外の図書館や研究機関等の調査が計画よりも遅れているため。

今後の研究の推進方策

2023年度は、これまでにリストアップした書論の内容的な検討に着手し、その成果を研究会や学会で発表する予定である。少なくとも、本研究の柱である、金石学、書法指南のどちらかの視点に関する発表を行う予定である。また可能であれば、海外の図書館機関の調査を通して、未発見の指南書、書論の発掘にも努めたい。

次年度使用額が生じた理由

当初の予定よりも海外出張に行くことができなかったため、次年度の費用として先送りする。研究の遂行上、必要不可欠な図書の購入、もしくは、海外の図書館等の調査費用として使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 清代の書論からみた「写すこと」と「臨書」の関係について2023

    • 著者名/発表者名
      髙橋 佑太
    • 雑誌名

      書教 創立90周年記念誌

      巻: - ページ: 33~33

  • [雑誌論文] 中国書道史関連の研究動向(二〇二〇・二〇二一年度)2022

    • 著者名/発表者名
      髙橋 佑太
    • 雑誌名

      書学書道史研究

      巻: 32 ページ: 113~124

    • DOI

      10.11166/shogakushodoshi.2022.113

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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