研究課題/領域番号 |
22K00371
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
藤野 真子 関西学院大学, 商学部, 教授 (20332653)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 越劇 / 中国演劇 / 唱本 |
研究実績の概要 |
2022年度においては、コロナ禍による海外渡航の各種制限の影響がまだ残っており、長期休暇を利用して中国・台湾への現地資料調査へ赴くことがかなわなかった。特に、上海を中心とした江南地区の図書館・資料館等に所蔵されている中華民国期の越劇テクスト集(唱本)、越劇専門小報(小新聞)、専門雑誌、上演パンフレットといった一時資料については、新規に入手することが物理的に不可能であり、研究の進捗に多少の停滞をもたらした。 こうした状況のもと、すでに収集済みの1940年代の越劇唱本と、同時期に刊行された越劇専門小報の分類整理と内容分析、および中国伝統演劇関連書籍・資料の購入に傾注せざるをえなかった。それらの作業に基づき、今年度は論文「1940年代上海における越劇の位相――観客、小報、上演テクスト」を執筆したが、掲載先の事情により2022年度内の掲載・刊行はできなかった。なお本論文については、2023年度以降の刊行を予定し、現在、補足および改稿を行っている。 他方、上述の作業を踏まえた副次的な研究成果として、中華民国期の伝統演劇界に関する言説を取り扱った書籍に関する書評「ことばで舞台を描いた人々 黄霖『近代文学批評史』(上海古籍、1993年)」を執筆し、中国文芸研究会『野草』110号(pp96-101、2023年3月31日刊行)に掲載した。伝統演劇の動向を言語化するという、中華民国期の各種文芸活動をあらためて確認することにより、本研究推進の手法に一つの視点を加えることができたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国・台湾現地において、新規の資料収集を行えなかった点が最大の問題であり、全体の研究進行に若干の遅れを来していることは否めない。他方、収集済み資料の整理を進め、関連書籍等の先行する論考を検討することで、本研究全体の基層をなす論考の執筆にとりかかることはできた。 現地での資料収集については近日中に再開が見込まれており、その実施によって、本来予定していた水準に研究を進捗させることが可能となると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度以降は長期休暇を利用して、中国・台湾での中華民国期資料の収集を再開し、本来予定していた唱本、小報、雑誌、上演時のパンフレット等の複写を行い、条件的に可能であればオリジナルの購入も検討する。また、国内外において同分野の研究者との研究交流も推進していく。 その上で、昨年度に引き続きこれらの資料の学術的価値を判断し、各々の内容の分類・分析と関連論考の執筆、および対外的な口頭発表を並行して実施する。
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