| 研究課題/領域番号 |
22K00375
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| 研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山本 卓 金沢大学, 学校教育系, 教授 (10293325)
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| 研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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| キーワード | 太平洋表象 / 植民地主義 / モダニズム / 大衆文学 / 帝国主義 |
| 研究実績の概要 |
令和7年度の研究は、Lewis Becke、H. G. Wells、Joseph Conrad の3作家を中心に太平洋表象の検証を進めた。これらの作家はいずれも太平洋を舞台とする物語を執筆しているが、その描写の方向性は異なり、とりわけConradは他の二人の作家が得た商業的成功を強く意識していたことが文献調査から明らかになった。Conradの“The Shadow-Line"などの作品は、冒険小説という枠組みを超えて、モダニズム文学の特徴的要素を示すと同時に、植民地主義に対する潜在的な批判をも内包している点が重要である。若き船長の内面的成長という物語を通じ、帝国支配の不安定さや人間存在の脆弱さを鋭く照射しており、単なる娯楽作品とは一線を画している。一方、BeckeやWellsは、より大衆的な娯楽性を重視し、特にBeckeの作品には自身の南洋での経験を反映しつつも、西洋人読者の先入観を裏切らない安定した南洋イメージが描かれていることが確認された。このことから、彼らの太平洋物語が市場のニーズに応じて柔軟に変容していった経緯が浮かび上がり、帝国主義的視線と商業的要請の交錯が読み取れた。また、Jack LondonやSomerset Maugham についても併せて検証を進め、これらの作家が前述の3名が築いた太平洋表象の範疇にいかに位置づけられるかを考察した。特にMaughamの“Rain"は、Conrad的な内面的葛藤の描写と、Becke的な南洋の異国情緒を併せ持っており、両者の交錯点に立つ作品であることが示唆された。さらに資料調査として、大英図書館、ロンドン大学の図書館を訪れ、未公刊資料や手稿類の発掘を行ったことも本年度の成果の一つである。以上の検証により、太平洋表象が帝国主義、モダニズム、大衆文学といった複数の要素が複雑に交錯する文学的装置であることが改めて確認された。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
今年度の研究愛称にあげた作家はいずれも多作であり、これらの文献の読解に想定よりも時間がかかった。特に当初読解対象として計画していたBeatrice Grimshawはほとんど着手することができなかった。
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| 今後の研究の推進方策 |
読解対象とすべき作家の未検証など多少の遅延はあるものの、研究自体の全体像には変更はなく、今年度も当初の計画通りに研究を遂行する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
謝金等に支出を予定していたものの実際の人件費業務が発生しなかったことが原因である。
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