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2022 年度 実施状況報告書

ディケンズの男性観-後期小説とセルフメイドマン、プロフェッショナリズム、帝国主義

研究課題

研究課題/領域番号 22K00380
研究機関高知大学

研究代表者

長谷川 雅世  高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (30423867)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードDickens / 男性観 / ヴィクトリア朝 / プロフェッショナリズム / 作家像
研究実績の概要

本研究はDickensの8つすべての後期長編小説を包括的かつ網羅的に扱い、彼の男性観を次の3つの事柄―Self-Made Man、プロフェッショナリズム、そして帝国主義―に焦点を絞り考察することを目的としている。これらはDickensの男性観だけでなく、ヴィクトリア朝の男性観、特に中流階級の男性観を形成している重要な要素でもある。それゆえ、これらの3つ観点から考察することで、Dickensのみならずヴィクトリア朝の男性観についても新たな例証と見解を提示することを目指している。
当初の計画では、今年度は、David Copperfield, A Tale of Two Cities, Great Expectations, Our Mutual Friendを中心に考察し、Self-Made Manというヴィクトリア朝の理想の男性像に対するDickensの態度、特に彼の両価的態度を明らかにした上で、その矛盾を解明する予定であった。
しかし、研究開始時点で個別に十分な論考ができていない4つの作品、David Copperfield, Hard Times, Little Dorrit, Our Mutual Friendそれぞれを、Dickensの男性観という観点から読み解くことから始めるべきだという考えに至り、本年度はまずHard Timesを ヴィクトリア朝当時のプロフェッショナリズムとDickensの理想の作家像との関係から考察し、この小説から読み取れるDickensの男性観を明らかにした。次に、David Copperfieldにみられる作家という職業が内包する男性らしさと女性らしさ、さらに男性作家と女性作家の差異を探った。Hard Timesの考察は終了し、2本の論文が2023年中には国際誌で発表予定である。David Copperfieldの方は途中段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度はHard TimesとDavid Copperfieldの2小説の研究を終わらせ、論文投稿を行う予定だった。Hard Timesに関しては2本論文を書いて投稿し、2本とも2023年中に国際誌で発表予定である。しかし、David Copperfieldに関しては、この小説における理想の作家像という主題に関して先行研究がとても多く、なかなか自身の論考の独自性が見いだせず、予定通りに研究を進め結果が出せていない。

今後の研究の推進方策

David Copperfieldに関しては、理想の作家像という主題選択が研究が予定通りに進まない大きな理由の1つであるが、研究全体の目標を考えれば主題を変えることはできない。ゆえに、この小説個別の研究で独自性を追求することよりも研究全体における役割を考えてこの小説を考察したい。そうすれば、論文を書き終え、研究を進めることができるはずだと考える。
来年度は、David Copperfieldの研究を終わらせて論文投稿を行い、その後Littel Dorritの研究・論文投稿まで終わらせる。

次年度使用額が生じた理由

学会等がオンライン参加のことが多く、予定していたほど国内出張がなかったため。
持ち越しになる分を翌年度の海外出張(イギリス)に充てたいが、夏の時点での飛行チケット代とロンドンのホテル代が高額な状況のままであれば、海外出張をさらに一年延期する必要も出てくる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 書評:Joachim Frenk and Lena Steveker, eds, Charles Dickens as an Agent of Change2022

    • 著者名/発表者名
      長谷川雅世
    • 雑誌名

      ディケンズ・フェロウシップ日本支部 年報

      巻: 45 ページ: 24-32

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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