研究課題/領域番号 |
22K00395
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
秋元 孝文 甲南大学, 文学部, 教授 (70330404)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | Nicole Krauss / Etgar Keret / Uzi Weil / ユダヤ文学 / ホロコースト / イスラエル |
研究実績の概要 |
6月にアメリカのユダヤ系作家でホロコースト・サバイバー3世の作家Nicole KraussのGreat House(2010)について「喪失を型から起こす―The Great Houseに見るホロコースト3世の表現」を『甲南英文学』No.36/37合併号に発表。ホロコーストという歴史的悲劇を直接的には体験していないという「接触のなさ」と、しかしながら書かずにはいられないという「接続」への欲望という打ち消し合う二つの力を小説で描くためにいかなる手法がとられているのかを、マリアンヌ・ハーシュのPost Memoryの概念などを援用しつつ分析し論じた。
『新潮』10月号に研究計画の対象作家であるEtgar Keret著「サルマン・ラシュディ事件の2つの悲しみ」を翻訳し掲載。表現の自由に対する暴力に対して同時代の作家であり本研究計画の研究対象であるKeretがいかに反応したのか、翻訳を通じて日本の言論界に問うた。
2023年3月にイスラエルを訪問し、研究対象の作家Etgar Keret, Uzi Weil, Tel Aviv 大学教授のSonia Weinerと面談し、研究計画について助言を得た。ネタニエフ政権の「司法改革」に反対して市民のデモが続くイスラエルの民主社会の現状と、ホロコースト・サバイバーの子孫による表現のあり方などについて議論した。また、広く今後の世界における文学や出版文化の在り方、反知性主義や市民の分断などについても議論し、研究の今後の展開に非常に有益な助言を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各論を一本出版し、次の展開のための助言も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
Sonia WeinerとJessica Langの移民文学論、ホロコースト文学論を参考にしつつさらなる作品の考察を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたNYでのリサーチに行けなかったため。23年も厳しそうなため給付期間内で適宜対応していきたい。
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