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2023 年度 実施状況報告書

近代英文学における環大西洋的視点構築のための実証的・統合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K00432
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

原田 範行  慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (90265778)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワードイギリス文学 / アメリカ表象 / 大西洋往還 / 植民地 / アメリカ独立戦争 / 旅行記 / ゴシック・ノヴェル / センチメンタル・ノヴェル
研究実績の概要

本研究2年目にあたる2023年度においては、昨年度において主にイギリス側から見た近代英文学における環大西洋的視点構築に資する文学作品や航海記(実録)、定期刊行物の記事など約100点について、それぞれの成立事情に関する詳細な調査と作品分析を進めた。一般のイギリス文学史では、概ね、アフラ・ベーンの『オルノーコ』など17世紀後半の作品群から、主人公が大西洋を往還するデフォーの『モル・フランダース』、さらに18世紀後半のイギリスにおけるアメリカ表象に至る約100年間の推移を、アメリカにおける植民地形成、異文化交流の諸相、楽園としてイギリス・ヨーロッパに対峙する理想化されたアメリカ、アメリカ独立をめぐる国体論争などのコンセプトをもとに統合的に論じる準備がほぼ整ったと言える。この意味で、研究の進捗は予定通りである。2023年度はまた、この時期の環大西洋往還にかかわる思想的・文学的動向を、サミュエル・ジョンソンの作品群に焦点を絞ってアメリカ(ウィリアム・アンド・メアリー大学、ヴァージニア州)で学会発表する機会があり、この機会に、アメリカ独立以前のアメリカ側の政治的・文化的状況について、多くの情報交換をすることができた。特に、アメリカから大西洋をわたってアフリカ各地に至る人的・物的な移動・交流は、従来の三角貿易に関する研究を敷衍しつつも、さらに大きな文化的広がりを有することが確認され、そのことについてのイギリス側の反応をより多角的に捉えることにもつながって有益であった。以上の2023年度の研究実績については、その一部を個別の論文としてまとめるべく現在執筆中であるが、より長期的には本研究の中核部分として位置づけており、本研究の最終的なとりまとめに向けて、重要な展開をはたすことができたと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要に記した通り、本研究2年目にあたる2023年度は、昨年度の網羅的な作品・表象に関する調査を踏まえて、これを個別の成立事情等を精査することで、作品や表象の具体的な性格を明らかにすることを研究の中心としていたが、これについては概ね予定通りに遂行することができた。また、アメリカでの学会発表や情報交換は、一部、2024年度に計画をしていたことを前倒しして実施したものだが、そうすることで本研究3年目以降の考察をより実質化し深めることにつながったと考えられる。以上の状況を踏まえ、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

本研究におけるこれまでの実績と進捗状況を踏まえ、今後も予定通り研究を遂行していく。したがって、3年目にあたる2024年度は、当初の計画通り、イギリスにおけるアメリカ表象と現地(アメリカ)における実際的状況との差異を明らかにしつつ、旅行記や実録航海記の英米における出版および普及の状況を具体的に確認することを研究の主眼とする。

備考

原田が執筆した書評「Jonathan Swift as a Conservative Trimmer: An Ideological Reading of His Politico-Religious Writings, 1701-1726 (by Wataru Nakajima)」(『英文学研究』(日本英文学会)第100号掲載)は、イギリスの政体論について本研究にかかわる内容を有している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 環境文学としてのジョージ・エリオット作品―風景、家屋、社会2023

    • 著者名/発表者名
      原田範行
    • 雑誌名

      ジョージ・エリオット研究

      巻: 25 ページ: 1-18

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Hope and Inconclusiveness from Samuel Johnson's Rasselas to Charlotte Bronte's Jane Eyre2023

    • 著者名/発表者名
      原田範行
    • 学会等名
      East Coast / American Society for Eighteenth-Century Studies
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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