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2022 年度 実施状況報告書

ウクライナの複層的アイデンティティの系譜学

研究課題

研究課題/領域番号 22K00443
研究機関宇都宮大学

研究代表者

大野 斉子  宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (00611956)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードウクライナ / 表象 / ポーランド / オーストリア / 19世紀
研究実績の概要

本年度は19世紀にウクライナを領土として包合したポーランドとオーストリアにおいて、ウクライナがどのように表象化されていたかという観点から、ポーランド(ワルシャワ)とオーストリア(ウイーン)の国立図書館、博物館において資料調査と、収集資料の整理に従事した。
ポーランドでは調査した文献・絵画資料から19世紀前半以降、文学、絵画の領域において進められたウクライナの表象化がロマン主義の強い影響下にあったことが確認された。さらに、ロマン主義芸術が地域を跨いで見せている各種の共通性の中でも、地域の表象の感情化という傾向と、ノスタルジーが強く現れていることに着目し、ポーランド分割の社会的観点からの分析が重要であることを把握した。
オーストリアにおいては、年鑑や地誌におけるガリツィアの記述により、この地域への重みづけや叙述の枠組みなど、帝国側の眼差しを把握するための資料のほか、複雑な歴史を持ちガリツィア地方の内部からの眼差しを論じた文学論文の収集を行い、オーストリアの領土であった時期の表象分析の材料を得ることができた。一方、ポーランドに比較してウクライナをロマン主義的に描いた資料が少なく、それぞれの地域における帝国―属領の歴史的経緯に照らした分析の必要性を把握した。
資料調査を通じて、ウクライナを領有していた主要な周辺国であるポーランドとオーストリアにおけるウクライナ表象の作品の確認と地域的分布について把握を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

資料調査を行ったことにより、本課題のうち、周辺国との歴史的関係に起因するウクライナの表象の多様性について、作品や地域的分布の確認を進めることができた。合わせて研究に必要な歴史資料等の所蔵調査が進んだ。一方で、ウクライナ国内の文献・文化史資料へのアクセスが困難な状況にあり、予定していた資料調査が実施できなかった。

今後の研究の推進方策

2023年度中にウクライナにおける資料調査が実施できるか、現時点で見通しを立てることは難しい。一方、19世紀に発行されたウクライナ関連資料はロシアにも多く所蔵されていることから、代替措置としてロシアにおける資料調査を行うことを予定している。また、電子化されている資料を用いて補完的作業を行い、調査できる時期にむけて準備を行う。

次年度使用額が生じた理由

ウクライナにおける資料調査を実施しなかったことにより、旅費の支出額が減じた。一方、コロナウイルス感染拡大の影響により2022年度には旅費が値上がりしていたことから、結果として次年度使用額は上記の金額となった。次年度は、ロシアにおける所蔵調査のために使用する計画である。

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公開日: 2023-12-25  

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