研究課題/領域番号 |
22K00450
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
野呂 康 岡山大学, 教育推進機構, 准教授 (70468817)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パスカル / プロヴァンシアル書簡 / 論争 / 作家性 / ジャンセニスム |
研究実績の概要 |
本研究課題の初年度にあたる今年度は予定通りパスカルと『プロヴァンシアル書簡』の関係性について検討し,数回の発表を行うことにより学会での周知に努めた.また,日本とフランスの研究者を集めて研究会を組織し,定期的な研究交流に努めた.会合はオンラインを利用し,フランス語と日本語の両方で行われた. 具体的な成果としては,以下が挙げられる. 1)「『プロヴァンシアル書簡』の作家とは誰か?」:「先行研究の批判的考察」(発表);2)「テクストの価値,パスカルの価値」(研究会発表);3)「『プロヴァンシアル書簡』の作者は誰か?-パスカルと『プロヴァンシアル書簡』」(日本フランス語フランス文学会2022年秋季大会における学会発表);4)「パスカルと『プロヴァンシアル書簡』 語り手としての単一の「私」」(日本フランス語フランス文学会中国・四国支部大会における学会発表);5)「Y a-t-il les libraires-imprimeurs < janseniste >」(研究会発表);6)「文学の領分 -文学は何を伝えるのか」岡山大学ヨーロッパ言語文化研究会『ヨーロッパ言語文化研究』(研究会紀要);7)「『プロヴァンシアル書簡』の作者は誰か? パスカルと『プロヴァンシアル書簡』」(日本フランス語フランス文学会編『フランス語フランス文学研究』に掲載予定);8)「パスカルと『プロヴァンシアル書簡』(2) 語り手としての単一の「私」」(日本フランス語フランス文学会・中国・四国支部『フランス文学』に掲載予定);9)「Faut-il se demander le vrai auteur des Provinciales ?」Lettres a Pascal, Paris, Thierry Marchaise(印刷中).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年にあたる今年度は,論争研究の視点から『プロヴァンシアル書簡』の成立基盤を考察し,明らかにすることと目的としていた.具体的には,1)『プロヴァンシアル書簡』の「作者」について研究を進めた.作家パスカルの作品とする伝統的な捉え方に対し,歴史的・テクスト的な視点から異議を唱え,論争文書としての性質とテクスト特性を踏まえる議論の必要性を唱えた.2)作品成立の社会的基盤となる出版とメディアの視点から,『プロヴァンシアル書簡』の社会的インパクトについて歴史的考察を加えた.具体的な成果については,「研究実績の概要」にて報告する.
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今後の研究の推進方策 |
これまでは『プロヴァンシアル書簡』の制作上,そして出版上の特徴について考察してきたため,本課題研究の2年目には,『プロヴァンシアル書簡』の歴史的側面についてまとめることを予定している.とりわけ,論争文書としての性質を踏まえ,順次繰り出される文書(パンフレ)の成立ともくろみを整理するだけでなく,パンフレから書籍に形式の移行が見られた後の受容様態についても考察対象とする.また,次年度に予定している「価値」についても,文献の整理と理論形成に着手したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
課題研究の初年度にあたる今年度に資料整理用のパーソナル・コンピュータの購入を予定していたが,現在使用している機器を引き続き利用していたため,次年度以降の必要時に買い替えを行うつもりである.また,COVID-19の世界的な感染状況に鑑み,今年度は予定していた海外への出張を見合わせた.その他の収支については,概ね予定通りである.
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