研究課題/領域番号 |
22K00464
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鎌田 隆行 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (30436985)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | バルザック / フランス文学 / 十九世紀小説 / 生成論 / 題名 |
研究実績の概要 |
1. 十九世紀フランス文学や生成批評全般に関連する版本、参考書籍、各種資料を幅広く収集・参照し、同時代におけるフランスの文学生産の状況と作品の題名の関係を検討した。 2. 最新のバルザック研究の進展状況を参照し、国内およびフランスの研究会の場で第一線の研究者たちと意見交換を行った。特にリヨン高等師範学校のエリック・ボルダス教授、ランス大学のナタリー・プライス教授から本研究課題について意見をうかがうことができ、研究方針や関連資料についてアドヴァイスを得た。 3. 文学作品の題名に関して従来なされてきた研究史を整理するため、関係する理論的論考や作品読解の事例を参照し、主要な論点および検討課題を論文「バルザックの題名学的研究―論点整理の試み」にまとめた。 4. バルザックにおいてどれだけの題名が存在し、実際の作品や作品計画に紐づけされているのかを検討するため、『人間喜劇』収録作品および「雑纂作品集」(以上、プレイヤード版)、「初期小説」(ラフォン版)、戯曲作品(ビブリオフィル・ド・ロリジナル版)の題名の基本リストを作成した。 5. バルザックの題名群の受容を考える上で重要となるレフェランス・ツールをめぐる口頭発表1件、ワークショップ1件を実施し、また、題名収集において克服すべき重要課題となる未完作品群の調査に関連し、従来のエディションにおける未完作品の収録状況を検討する発表を1件、未完資料の今後の生成論的調査の課題を整理する発表を1件行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染状況のため、2022年度前期に予定していた現地調査を取りやめたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に作成したバルザックの作品の題名の基本リストにもとづいて関係作品の生成過程を検証し、ある題名がどの段階で出現し、作者による作品制作のどの局面で維持・改変(あるいは消滅)が行われていくかを考察する。特にバルザックの創作ノートPensees, sujets, fragmensに記載された題名群の集中的な分析を進め、後の『人間喜劇』の形成過程を題名群の推移という観点から再考する。関連する原資料についての現地調査の実施、紀要論文の刊行、研究会等での口頭発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:新型コロナウイルスの感染状況のため、2022年度前期に予定していたフランス出張を取りやめたことによる。 使用計画:2023年度は資料調査のためのフランス渡航を2度実施し、国内出張も複数回行う予定である。
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