研究課題/領域番号 |
22K00465
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 耕太郎 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (40551932)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 学問史 / 健康の概念 / 健康の歴史 / Hausvaterliteratur / Gesundheit |
研究実績の概要 |
今年度は、家庭という親密な空間内における病に向けられた眼差しを具体的に分析した。史料として、17世紀末から18世紀末に出版された家長の指南書(Hausvaterliteratur)に推される書籍の分析をおこなった。この分析によって、18世紀中頃から、家長の指南書に、病についての記述または病んだ家庭メンバーへの配慮についての記述がなくなったことを確かめることができた。しかしこれは家庭内にて病への配慮がなくなったことを意味しているのではない、研究をすすめるなかで、家庭での製薬について論じた書籍や、簡易な病の診断書のようなものが、独自に出版されるようになったことがあきらかになった。こうした現象は、医学的知識の専門化が徐々に進行していたことの例証であると現段階では位置づけている。とくに製薬について論じた著作については、病気の簡易な診断についての説明も記載されていることも明らかになったため、今後の研究で分析する必要があると考えている。 今年度の研究をすすめるにあたっては、コンスタンツ大学とデュッセルドルフ大学のスタッフとの間で意見交換を重ねた。この意見交換のひとつの成果として、11月には、コンスタンツ大学の歴史学科アヒム・ラントヴェア教授をまねいた研究会を開催し集中的に意見交換した。また同時に国際ワークショップを開催し、本研究の一部の成果を、口頭発表という形で公表することになった。今回のワークショップを経て、2024年度にはデュセルドルフ大学のスタッフをまじえての国際ワークショップを開催する予定である。また今年度の研究については、論文にまとめ、2024年度中に公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。海外大学のスタッフとの意見交換も、本研究を進める刺激となっている。
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今後の研究の推進方策 |
まず今年度におこなってきた研究を論文にまとめ公表する。すでに史料についての分析はおわっており、専攻研究のさらなる調査をおこないつつ、論文にまとめる。また2024年11月には、国際ワークショップを開催する予定であり、このワークショップにあわせて、海外の研究者との情報交換ならびに、2023年度の研究成果ならびに2024年度にすすめている研究の一部を公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、海外出張の予定していたが、すでに報告書にも記載したとおり、大阪にて、国際ワークショップを開催したことで予定していた海外出張の分を2024年度に繰り越している。この繰り越し分は、2024年度に予定している海外出張にて執行予定である。
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