研究課題/領域番号 |
22K00467
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
奥 彩子 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (90513169)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | ユーゴスラヴィア / 南スラヴ / 文学 / バルカン |
研究実績の概要 |
本研究では、20世紀前半の統一国家の黎明期を中心に、「ユーゴスラヴィア文学」がどのようなものとして構想されたかを明らかにすることを目的としている。 初年度にあたる2022年度は、旧ユーゴスラヴィアを代表する劇作家であるブラニスラヴ・ヌシッチについての研究をおこなった。ブラニスラヴ・ヌシッチ(1864-1938、出生時の名はアルキビヤデス・ヌシャ)の人生は波乱に満ちており、一九世紀から二〇世紀前半のバルカン史を体現する作家と言ってよく、ヌシッチ自身、その時代精神を創作によって著した人物である。 ヌシッチの文学者としての最初の一歩は、創設されたばかりの学生向け雑誌であり、ヌシッチ自身、学生雑誌の編集者としても活動した。愛国主義者としての少年時代、オスマン帝国での外交官としての活動、ユーゴスラヴィア各地の劇場との関わり、第一次世界大戦時の難民・亡命生活など、ヌシッチとその作品を通して、当時の時代精神を研究した。ユーゴスラヴィア各地を訪れ、仕事をしながらも、ヌシッチが自らのアイデンティティの源としていたのは「ユーゴスラヴィア」ではなく、あくまで「セルビア」であった。それはヌシッチ自身の複雑な出自が影響していること、「ユーゴスラヴィア」を声高に叫ばずともその活動の広さがユーゴスラヴィア全体に与えた影響の大きさは計り知れないことを考察した。初期作品である『不審人物』、晩年作品である『故人』の翻訳をし、刊行を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
戦間期の主要作家であるヌシッチに着眼点をあて、当時のユーゴスラヴィアの文化状況を考察できた。
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今後の研究の推進方策 |
個別の作家に着眼することでまず立脚点を作ることにした。2023年度はヌシッチの作品翻訳の刊行の準備、また、ヌシッチを通して見る戦間期のユーゴスラヴィアの文化状況についてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
翻訳・刊行準備のため資料収集と研究を行う。そのため、本年度未購入であったPCを次年度にて購入予定である。
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