研究課題/領域番号 |
22K00476
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
千川 哲生 立命館大学, 文学部, 准教授 (50587251)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イエズス会 / 演劇 |
研究実績の概要 |
本研究の初年度に相当するため、予定していた通り、今後の研究に必要な準備となる資料収集から本研究を開始した。ポルトガルの各図書館(コインブラ、リスボン、エヴォラ)、そしてローマとマドリードの図書館、古文書館より、16世紀から17世紀のイエズス会中等教育機関における戯曲台本や対話篇の写本の複写を取り寄せた。並行して、複写許可が下りない貴重資料に関しては現地調査(コインブラ、ローマ)を行った。そうして得られた資料データを整理すると共に、とりわけコインブラとローマの図書館に残されているペルピニャンやアセベド神父の手がけた対話篇の写本の読解を進めた。そして各地の図書館に残された同一テクストの複数写本の比較検討、細部の照合を行うことで、写本の伝播に伴う変容の一端を明らかにすると共に、イエズス会の初期学校演劇の普及プロセスの解明に努めた。写本が流通するなかで、徐々に初期イエズス会演劇および対話篇の諸テーマが形成されていったこと、および各学校の事情に合わせたアレンジが加えられていることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍が収まるに伴い、現地での資料調査が可能になったおかげで、ある程度まで順調に進捗している。ただし写本の転写と読解は写本の状態に左右されるため、予定よりも若干読解に時間がかかっている。そのため、複写申請の量を減らさざるを得なくなった。加えて、予定していた複写申請許可が下りず、現地調査で転写せざるを得なくなるケースが生じた。以上の理由から予想していた以上の時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに収集した資料の調査を引き続き進めていくと共に、必要に応じて現地での資料収集を同時に進めていくことで、進捗状況の遅れを取り戻すことを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」で記したとおり、写本の読解に想定していた以上の時間がかかり、研究計画に若干の遅れが生じている。それに伴い、写本の複写を申請する数を若干減らすことになり、その分を翌年度以降の調査費用に回すことにした。
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