研究課題/領域番号 |
22K00503
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
入江 浩司 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (40313621)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アイスランド語 / 中動相 / 相互動詞 / 奮闘動詞 |
研究実績の概要 |
本年度は現代アイスランド語の -st 接尾辞をもつ動詞のうち、奮闘の意味をもつもの(奮闘動詞と称する)を中心に研究した。奮闘動詞には、同じ接尾辞をもつ相互動詞から意味的に派生したと考えられるもの(berjast「戦う」)や、名詞から派生したと考えられるもの(streitast「苦闘する」< streita「重圧」)などがある。構文上で共起する成分として、主語位置の人と、前置詞句で導かれる奮闘の対象(現れない場合もある)の二つに注目し、研究代表者が新聞や書籍から収集した用例と、アイスランドの The Arni Magnusson Institute for Icelandic Studies がウェブ上で公開しているコーパス(The Tagged Icelandic Corpus)を利用して用法の調査を行った。その結果、主語と対象の間の対称性が、前置詞の種類の選択と相関のあることが見えてきた。2者の対称性が高いと考えられる相互の意味の場合には、相手(対象)を導く前置詞は vid「~と、~に対して」が普通であり、対象が抽象的なものになるなどして主語との対称性が低下すると gegn「~に対して」や a moti「~に対して」といった前置詞が用いられる傾向がある。ただし、ad 節「~こと」(英語の that 節に相当)が対象の場合には、対称性の高い相互関係と同じ前置詞 vid によって導かれるため、上記の解釈には今後さらなる検討の必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた現地調査ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
母語話者に対する調査により、表現可能な部分と不可能な部分の境界を確定する。現地調査の実施が困難な場合には、母語話者に対する調査はオンラインで行ない、文献やコーパスを利用した調査の比重を高める。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた海外における現地調査ができなかったため。渡航費が高騰しているため、本年度の残額は次年度の現地調査にかかる経費として計上している額に積み増しする形で使用する予定である。
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