研究課題/領域番号 |
22K00521
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
内田 慶市 関西大学, 東西学術研究所, 研究員 (60115293)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イソップ / ロバート・トーム / エンブレム / 魔女裁判 / 水審 / 白話 |
研究実績の概要 |
2023年度はこの数年で新しく発見されたルッジェーリ(羅明堅)のイソップについて主に研究を続けてきている。その由来の多くはイタリアのアンドレア・アルチャーチによる『エンブレム』に見られることや、今のイソップには採用されているが、元々のイソップにはなかった寓話(「めくらとびっこ」)が実はエンブレムを元にしていることなどが分かってきた。まら、ルッジェーリの「通俗故事」に収められている寓話はイソップ以外に多くの中国の民間伝説や故事を元にしており、それらとイソップの受容の仕方も興味深いものであり、今後の研究課題となるものである。 また、ずっとこれまで謎であったロバート・トームの「意拾喩言」の中の「意拾勧世」という寓話が中世の魔女裁判の「水審」に由来することがほぼ明らかになったが、しかし、トームが何故それを採用したかについては不明である。本来のイソップには収められていないものをトームはある意図をもって導入したはずであり、そのことの解明が待たれるところである。 この他に、これまでのイソップ研究で抜け落ちてきた問題の所在が随分明らかになってきている。 なお、ルッジェーリのイソップは極めてこなれた「白話」で書かれており、中国語の文体の資料としても有益である。ロバート・トームの白話文言混合体、このルッジェーリの白話体、また北京語で書かれたポアロの「古新聖経」等々との比較研究もまたこれからの大きな課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やはり新型コロナによって行動が制限されたことにより、思うとおりの資料調査、発掘が出来なかったことが大きな要因となっている。しかし、この半年来、ようやく元の環境に戻りつつあり、当初の計画通り、漢訳イソップ研究の集大成を目指す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度が最終年度であり、これまでの研究成果をまとめて、世に問うことを考えている。 おそらく「イソップ拾遺」といったタイトルで一冊の本にまとめる予定である。 また、最終年度として出来れば漢訳イソップのシンポジウムを開催したいとも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度繰越は2085円であり、これは即使用が可能である。 なお、それ以外の経費は当初の予算請求通りである。
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