研究課題/領域番号 |
22K00525
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
岩崎 宏之 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (50816056)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大併合モデル / 関係節 / フェイズ |
研究実績の概要 |
生成文法理論において大併合(MERGE)モデルが導入されたことにより、それまで有効な理論的道具立てとされてきた統語的諸操作に疑いの目が向けられるようになったという事態を受け、本研究課題では、そのような統語操作に依拠することのない他の言語現象にも適用可能な既存のメカニズムのみを用いながら現代英語の関係節を分析する可能性を探っている。 本年度は、現代英語の関係節の一種である分離先行詞型関係節を取り上げ、研究を実施した。既に様々な形で分析がなされてきた現象であるが、その中には、大併合モデルにおいては正当化されない統語操作を援用したものも含まれており、大併合モデルの中ではどのようなアプローチが可能かを問うことは意味のあることと言える。研究の結果、大併合モデルにおいて正当性を失うこととなった遅発併合の効果をもたらすとMaezawa (2019) が論じている再統合の操作が、分離先行詞型関係節の分析にも有用であることが判明した。この成果は、DaSiC 6 (2022): Linguistics and Data Science in Collaborationにて口頭発表を行い、Data Science in Collaboration 6において研究論文として公表している。 さらに、極小モデルの重要な理論的概念であるフェイズに関しても研究を行い、Grano and Lasnik (2018) の扱う束縛代名詞を伴うphase cancellationの現象が、補文標識thatが省略されることによってthat痕跡効果を示すことなく容認される現象と関連していることを論じた。また、当該分析によって提起されることとなった一致の問題に関して、その一致には意味が関係しており、純粋に統語的な一致ではないという点で特殊な性質を持っていることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題が対象とする現代英語の関係節の一種である分離先行詞型関係節について、新奇でありかつ記述的に妥当な分析を提出することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
大併合モデルに対する理論的寄与も視野に入れながら研究を進め、論文として投稿・出版を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 新型コロナウイルス感染症の影響により、出張の予定がなくなったため。 (使用計画) 新型コロナウイルス感染症の状況が好転し次第、積極的に国内学会・国際学会に対面参加する。さらに、英語論文投稿のための校正校閲費にも充てる。
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