研究課題/領域番号 |
22K00538
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
北原 久嗣 慶應義塾大学, 言語文化研究所(三田), 教授 (50301495)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 生成文法 / 極小モデル / 併合操作 / 作業空間 / 構造依存性 / WH疑問文 / 移動 / 外在化 |
研究実績の概要 |
本研究は,構造依存性が言語の普遍的特性として現れる理由を再考するなか、類型論的に異なる日本語と英語(以下,日英語)の統辞構造の比較研究を推進する。具体的には,生成文法理論が提示する極小モデルの枠組みのもと,日英語の統辞構造の背後に仮定されてきた併合(Merge(X,Y)={X,Y})の手続きを見直し,併合が生成する統辞構造の普遍的特性と外在化(externalization)が誘因する多様性について,(i) 語彙項目の特性,(ii) 併合の適用手続き,(iii) その手続きを厳しく制限する一般法則,これら三つの要因とその相互作用から統一的な説明を試みる。
本研究2年目となる2023年度は,併合とその手続きを厳しく制限する一般法則との関係の解明を継続するなか、統辞構造の外在化に現れる多様性の問題に取り組んだ。1980年代に導入されたパラメータという概念は、言語の多様性を記述的に特徴づける道具に過ぎず,例えば,WH疑問文に関して,WH句の移動が義務的か随意的か,その違いが関係節内のWH句の解釈に影響するのはなぜか,これらの問いに統一的な説明を与えることはできなかった。本研究では,WH句が外在化される位置と併合操作に直接の関係はないとする分析を採択し,外在化と併合操作の関係,また関係節内のWH句の解釈について詳細に検討した。ここで検討されている分析が正しい限りにおいて,日英語のWH疑問文に関して,併合操作が生成する統辞構造に差異はないということになり,大変興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は国内外出張が可能となり,本研究の成果を対面の場で発信することができた。また国外から研究者を招聘し国際シンポジウムを開催し,専門知識および意見の交換を行い,本研究の成果と課題についてより深い理解を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究最終年となる2024年度は,これまでの研究成果を踏まえ,併合操作が生成する統辞構造の普遍性と外在化が誘因する多様性の問題に取り組む。日英語に観察されてきた現象を中心に,(i) 語彙項目の特性,(ii) 併合の適用手続き,(iii) その手続きを厳しく制限する一般法則,これら三つの要因とその相互作用から,統辞構造の普遍性を明らかにし,外在化に現れる多様性を導出することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究初年度である2022年度はCovid-19の変異株の感染拡大の影響のため,国内外出張ができず,2023年度は国内外出張が再開され,国際シンポジウムを対面開催することができたが、若干次年度使用額が発生した。最終年度となる2024年度に本研究の推進とその成果発表に使用予定である。
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