研究課題/領域番号 |
22K00539
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
徐 鳴鏑 慶應義塾大学, グローバルリサーチインスティテュート(三田), 特任助教 (20816798)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 連続録音 / 母子発話 / 音声の自動解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、I.日本人の乳幼児の日常的な母子発話データベースの構築と母子の発話特徴の分析、II.母親の内受容感覚の鋭敏さ(随伴的な反応と密接な関係をもつ)と母子発話の特徴(特に随伴性)と乳幼児の言語発達の間はどのような関係があるかを明らかにすることを目的としています。本年度は、乳幼児期における言語獲得に関する研究の一環として、自宅環境での母子発話を収集し、基礎分析を行いました。 これまでの研究では、実験室環境下での発話を収集することが一般的でしたが、自宅環境下での発話の方が実際の言語獲得に近いため、より現実的なデータが得られます。また、縦断的なデータを収集することで、乳幼児期の言語獲得の過程を追跡し、発話の変化や特徴を明らかにすることができます。 具体的には、3-24ヶ月の乳幼児を対象に、1ヶ月に1~2回、自宅での母子の会話を朝起きてから寝る前まで一日の連続録音を行いました。現在は合計18名の乳幼児の音声データを縦断的に収集しました。解析については、フランスENSが開発したアルゴリズムを用いて、母子やその家族たちの音声の分離の精度を検証しています。このアルゴリズムはこれまでに日本語の自動化解析に応用したことがなく、単語ごとに区切りなどの自動解析をすることについても現在検討中です。 本研究は、言語獲得における母子発話の特徴を解明することにより、言語療法や教育に役立てることができる可能性があります。また、データベースの構築によって、今後の言語獲得の研究においても有用な情報源となることが期待されます。さらに、このデータベースは、日本語を母語とする乳幼児に限らず、異なる言語環境における乳幼児の言語獲得に関する研究にも応用することができます。異なる言語環境における発話の比較研究などに活用されることで、言語獲得の普遍的な特徴を明らかにすることができます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究において、現在までに18名の乳幼児の母子の音声データを縦断的に収集し、母子発話の特徴を解明するためのデータベースの構築を進めています。また、共同研究を行っているフランスENSが開発したアルゴリズムを用いて、母子やその家族たちの音声の分離や単語ごとに区切りの自動化解析の精度を検証しており、一定の進捗が見られます。 但し、解析については、日本語の自動化解析に応用することが初めてであるため、単語ごとに区切り、品詞などの自動解析をすることについては現在検証中となります。この部分については、今後の検討が必要であり、解析の精度向上に向けた改善策を検討しながら、引き続き研究を進めていく必要があります。さらに、データベースの拡大及び収集したデータの分析や解釈にも時間がかかることが予想されます。
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今後の研究の推進方策 |
1.データ収集の継続と拡大:現在収集している18名の乳幼児の母子音声データを基に、より多くのデータを集めることで、母子発話の特徴をより詳細に検討していく予定です。また、当初は生後3ヶ月の赤ちゃんからのデータ収集を予定していましたが、ご負担と感じるご家庭が多く、3ヶ月児はあまり発声しないことを考慮し、今後は生後6ヶ月から計測するご家庭が中心になる予定です。 2.音声解析技術の改善:国内外の研究協力者との共同研究により、現在使用している音声解析アルゴリズムの日本語への検証を行い、機械学習などの技術を応用して日本語の単語や文法構造などの自動解析の精度を向上させる予定です。 3.母親の内受容感覚の測定:当初は母親の内受容感覚の正確性を縦断的に測定する予定でしたが、幼い乳児と別室で心拍数を測定することは困難であったため、今後は生後18、24ヶ月の時点で母親の内受容感覚の正確性を測定する可能性が高いです。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:研究テーマの進展に伴い、実験や調査に必要な機材や材料の追加購入、実験協力者や解析補助者への謝金、データ解析のためのコンピュータやソフトウェアなどのアップグレード、国内外の学会や研究者との交流のための学会参加や出張費用が必要となります。 使用計画:実験や調査に必要な機材や材料の追加購入、実験協力者や解析補助者への謝金、データ解析のためのコンピュータやソフトウェアのアップグレード、国内外の学会や研究者との交流のための学会参加や出張費用とする予定です。 これらの経費は、研究の進捗や成果に直結するものであり、研究の推進に不可欠なものとなります。引き続き、研究を進めるために必要な経費の適正な使用に努め、研究成果を上げていく所存です。
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