• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

北琉球語における複文の構造と意味-格配列と焦点化構文を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 22K00545
研究機関別府大学

研究代表者

金城 國夫  別府大学, 文学部, 准教授 (10847635)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード琉球諸語 / 記述言語学 / 動詞・形容詞活用 / 焦点化構文
研究実績の概要

本研究の目的は北琉球諸語における複文の構造および従属節内における名詞格の配列や焦点化構文に関する事実を記述し、理論的に分析することである。
2022年度の目標は対象言語における連体節(例:太郎が食べたそば)、名詞節(例:太郎が言ったこと)、引用節(例:太郎が言ったと思う)などの従属節について記述することであった。9月、12月、3月に奄美大島瀬戸内町(調査地点:古仁屋、篠川、嘉鉄)で、8月、9月、2月に沖縄本島与那原町(調査地点:与那原)および国頭村(調査地点:安波、安田)にてそれぞれフィールドワークを行った。8月から12月の調査は動詞、形容詞の活用、従属節の形態に関する基本的な事実を整理する目的で実施した。2月、3月の調査は12月までに得たデータの補足に加え、焦点化構文の記述も開始した。当初の予定では従属節の基本的な記述の後に、各従属節における名詞格の配列を調査する予定であったが、調査時間の関係などから、まずは焦点化構文や埋め込み疑問文の記述を行うことにした。記述内容は今後学会や国内学術誌で発表を予定している。
また、派生する研究として大分県豊後大野市における主格助詞「イ」の研究も行った。これは前年度の研究成果である北琉球諸語におけるガ主格とヌ主格の交替現象についての記述を踏まえたものである。北琉球諸語では主語の有生性や節のタイプ(主節か従属節か、他動詞節か自動詞節か、等)によってヌ格の使用分布が変化することを確認したが、大分県豊後大野方言におけるガ主格とイ主格でも同様の条件が関与しているかを調査した。その結果イ主格の分布は音韻的な要因によってのみ条件づけられており、主語の有生性や節のタイプは関与していないことが明らかになった。本研究の成果は紀要論文として発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた沖縄本島南部の調査が協力者の体調不良等によりアポイントメントが取れず、ほとんど調査を実施できなかったが、その他の地点(奄美大島瀬戸内町、沖縄本島国頭村)での調査は順調に実施できている。調査対象者が高齢であること、やや落ち着いたとはいえCOVID-19の感染が予断を許さない状況であったことを踏まえ、それぞれの調査は各1時間ほどとし、できるだけ調査回数を増やすことを心がけている。

今後の研究の推進方策

引き続き奄美大島、沖縄本島でのフィールドワークを実施する。調査地点に関しては、これまでの地点を回るので手一杯な感があるため、しばらくは拡大しない予定である。従属節の記述に関しては一段落したが、焦点化構文に関しては記述がまだ不十分であるため引き続きデータを収集する。2022年度にまとめた従属節に関する記述内容を国内雑誌論文で発表する予定である。さらに主格交替や焦点化構文に関する理論的な考察も進め、国内外の学会・研究会でその成果を発表していく。

次年度使用額が生じた理由

一身上の都合により、予定していた沖縄での調査を一回分キャンセルせざるを得なかったため、多少の残余分が出た。前年度は調査のための旅費がほとんどだったが、今年度は学会等での発表にも使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 大分県豊後大野方言におけるイ主格 -意味的・統語的制約(の不在)についての覚書-2023

    • 著者名/発表者名
      金城國夫
    • 雑誌名

      別府大学紀要

      巻: 64 ページ: -

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 大分県豊後大野方言の主格助詞「イ」について2023

    • 著者名/発表者名
      金城國夫、野邊実海
    • 学会等名
      第54回九州方言研究会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi