研究課題/領域番号 |
22K00548
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
熊切 拓 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (60802387)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アラビア語方言 / 言語学 / 文法 / ナラティブ / 語り / 口承文芸 / 民話 / 昔話 |
研究実績の概要 |
アラビア語チュニス方言はチュニジア共和国の首都チュニスを中心に話されているアラビア語方言のひとつである。本研究の目的は、①現地調査を通じて、このチュニス方言による口承文芸を記録し、その「語りの技法」に関して言語学的分析を進めること、②フダーウィーと呼ばれる語り部の活動に焦点を当て、その語りを記録し、チュニジア社会における語りの文化について理解を深めることにある。 本研究課題は、若手研究「アラビア語チュニス方言の口承文芸の言語学的研究」(19K13183)をさらに発展させるべく計画したものである。しかしながら、新型コロナウィルスまん延の影響のため、若手研究のほうに遅れが生じ、そのため、本研究課題の研究にも大幅な遅れが生じている。 本来は、チュニジアにおいて現地調査を行う予定であったが、現地調査を行うことができなかった。そこで、研究計画初年度である 2022 年度は大幅に予定を変更し、これまで得た言語資料をもとに研究を行なった。具体的には、チュニス方言の民話を 111 話集めた『アル=アルウィー物語集』を資料として、言語学的分析を行いった。この文献には、語り手であるアル=アルウィーの巧みな語り口が存分に記録され、生き生きとした「語りの技法」の分析にはうってつけの資料である。 研究成果は、未完了形が「驚き」を表す用法を記述した論文 1 本、語りと語順、モダリティ、主題化などに関する口頭発表 3 件として公開した。これらの研究を通じて、チュニス方言における物語の「語りの技法」のいくつかの側面を言語学的に明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画では、チュニジア共和国での現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響で、実施が不可能となった。そのかわり、日本国内でできること(資料の分析、研究成果の公表)に専念したが、本来の研究計画の実施という点では、十分に推進することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
チュニスでの現地調査を複数回行い、調査で得た資料をもとに、研究成果を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスまん延の影響のため、現地調査を行うことができなかった。次年度は複数回現地調査を行い、本来の研究目的を遂行する予定である。
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