研究課題/領域番号 |
22K00550
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小熊 猛 金沢大学, 外国語教育系, 教授 (60311015)
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研究分担者 |
金 智賢 宮崎大学, 国際連携機構, 教授 (40612388)
井筒 勝信 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70322865)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 二人称自称 / 人称指示 / 発話参与者 / 独白 / 自己分離 / 概念化者 / 概念対象 |
研究実績の概要 |
本研究は、話し手及び聞き手の人称指示形式の包括的対照研究によって、発話参与者指示の本質に迫ることを目的としている。令和5年度はこれまで調査してきたsel-blame及びself-encouragementの独白文脈における二人称自称指示に加えて、命令形発話(self-commandと呼べる発話)における呼格による発話者自称に注目して研究を進めた。日本語はself-blame,self-encouragement、self-commandのいずれにおいても一人称自称(first-person self-reference)を徹底して好むという調査結果を得た。一方で英語では自己を聞き手に見立てた二人称自称(second-person self-reference)が広く用いれることが明らかになった。さらに、日韓英語以外の8言語を調査した結果、self-blameではに二人称自称を許す一方でself-encouragementでは許さない言語が確認され、その逆にself-encouragementで二人称自称を許すがself-blameでは許さないという言語は確認できなかった。これを踏まえて、一人称自称のみで二人称自称を許さない言語<self-blameで二人称自称を許す言語<self-encouragementで二人称自称を許す言語、という含意階層で言語一般が捉えられるのではないかとの可能性を指摘した。 self-commandについての研究成果は第18回国際語用論学会(IPrA 2023)においてSpeaker-referential Vocatives in Self-directed Solitude Speech: Diverse Manifestations of Self-reference among Languagesというタイトルで口頭発表した。 聞き手が概念化者と概念化対象に分離し、前者が話し手と同じ視点に位置付けられると見做せる現象について、日本英語学会国際春季フォーラムにおいてLook at You! instead of Look at yourself!: Inviting Split-Addressee to Speaker’s Standpoint for Surprise Sharingというタイトルで口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度にあたる令和6年度の成果発表として国際会議にポスター発表(Undirected/directed-utterance sequences in Japanese, Korean, and English: A contrastive analysis)で採択されている。なお、令和5年度までの研究内容を総括した論考を査読誌に投稿準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
採択されたいる国際学会での発表の準備をZOOM会議を開催して研究分担者とともを進める。査読誌への研究成果の投稿を遅延なく進める。日韓英以外の言語についての予備的観察をさらに精査しつつ、その他まだ扱っていない言語についても検証を試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に計画していた国際会議での発表採択が得られなかったため、研究分担者2に名配分している及び研究代表者の旅費が未使用で繰り越しとなっている。これについては、令和6年10月31-11月2に開催される国際学会での発表が採択されており、この海外出張旅費に支出される。
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