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2022 年度 実施状況報告書

ハワイのウチナーンチュ・コミュニティにおける沖縄語の維持継承に関する質的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K00556
研究機関琉球大学

研究代表者

石原 昌英  琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (70244283)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード沖縄語継承 / 移民言語 / 伝統芸能と言語継承 / 言語権・言語的人権 / SCAT
研究実績の概要

令和4年度の研究実績は次の通りである。
1)11月にホノルル市において沖縄の言語・文化の維持継承活動を行っている沖縄系米国人4名(御冠船歌舞団3名・米国琉球古典安富祖流音楽研究朝一会1名)に沖縄語との係わりを中心に質的インタビュー調査を実施した。4名に共通しているのは、沖縄の伝統芸能(民謡・舞踊)を学び始めて、沖縄語への関心が高まったことである。また、御冠船歌舞団3名は沖縄語に対する言語意識と沖縄人意識が高く、ハワイ先住民の活動も支持している。4名ともハワイ在住のオキナワ系人に沖縄民謡を教えているが、日本語・沖縄語をほとんど理解しない生徒にかならず民謡の歌詞の意味を教え、そのことを通して沖縄語に対する興味を引き出している。
2)地域言語としての沖縄語の維持継承とハワイにおける移民言語としての沖縄語の維持継承は言語権(言語的人権)の対象となりうる。沖縄県とハワイにおける沖縄語継承活動を言語権の観点から分析した研究が非常に少ないので、令和5年度の研究ではハワイと沖縄県における沖縄語継承活動を言語権の観点から分析する。
3)本研究経費で実施した上記のインタビュー調査と別の研究経費で実施した沖縄県内で伝統芸能を学ぶ高校生を対象としたインタビュー調査が伝統芸能と地域言語継承に関することであったので、後者の報告会でハワイでの調査についても言及した。また、高校生を対象としたインタビュー調査で民謡の歌詞で使われる表現は日常会話の表現とは異なることが指摘された。令和5年度のハワイにおける調査はこのことにも留意して、伝統芸能と言語継承の関係を分析する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「やや遅れている」とした理由は下記のとおりである。
1)本研究の主たる対象となる御冠船歌舞団の主要メンバーに加え、米国琉球古典安富祖流音楽研究朝一会の会長に質的インタビューを実施したので、ハワイにおいて沖縄民謡と沖縄語を教えているオキナワ系人の活動の内容を知ることができた。また、文献調査を通して、移民言語(ハワイ)及び土着言語(沖縄)としての沖縄語の維持継承が言語権・言語的人権の対象であるとの認識を深めることができた。さらに、別の研究経費を活用しての調査で沖縄県における言語継承と伝統芸能の係わりを分析することができた。
2)しかしながら、都合により十分な時間が確保できなかったので、ハワイで実施した4件のインタビューのデータのSCAT分析に着手することができなかった。令和5年度はSCAT分析の経験者の協力を得て、分析を行う。
3)また、コロナ禍の影響でハワイ在住のオキナワ系人の沖縄へのスタディツアーが実施されなかったので、参加者へのインタビューが実施できなかった。令和5年度はスタディーツアーが10月頃に実施される予定なので、11月以降にハワイにおいて数名の参加者を対象にインタビュー調査を実施する。

今後の研究の推進方策

令和5・6年度の研究は次のように進める
1)令和4年度に実施したインタビュー調査のSCAT分析を進める。その際、同分析手法を熟知する者に協力を依頼し、謝金を支払う。
2)インタビュー調査を次のとおり実施する:令和4年度にインタビューした4名にハワイでの活動がハワイ語復興からどのような影響を受けているのかについて(追加の)インタビューを実施する。:スタディーツアー参加者へ、ハワイにおける沖縄の言語・文化の学びを含め、ツアー参加に関するインタビュー調査を実施する。:沖縄県内在住者で沖縄県における御冠船歌舞団の活動を支援している者にインタビュー調査を実施し、彼・彼女等の沖縄人意識、言語アイデンティ、言語イデオロギーについて分析する。
3)引き続き言語権、マイノリティ言語(移民言語・土着言語)の維持継承、芸能文化と言語継承に関する先行研究を分析し、理論的枠組を固める。
4)分析結果を論文にまとめ、何らかの形で発表する。

次年度使用額が生じた理由

1)令和4年度は旅費及び物品費(主に書籍)の執行が予定より少なかったので、約22万円の「次年度使用額」が生じた。
2)令和5年度はハワイでの調査に加え、国内(国会図書館等)での調査を実施する。
3)令和4年度と同程度の額の文献を入手し、録音機材(ICレコーダー)を購入する。
4)インタビューデータのSCAT分析を研究協力者(アルバイト)に依頼し、その謝金を支払う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 郷土芸能としまくとぅば継承ー高校の郷土芸能部での取組2023

    • 著者名/発表者名
      石原昌英
    • 雑誌名

      シマジマのしまくとぅば 令和4年度 消滅の危機にある方言の記録作成および啓発事業

      巻: 4 ページ: 9-18

  • [学会発表] 権利としての琉球諸語再活性化2023

    • 著者名/発表者名
      石原昌英
    • 学会等名
      琉球継承言語研究会

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公開日: 2023-12-25  

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