研究課題/領域番号 |
22K00563
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
小山 哲春 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 教授 (60367977)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | データ収集 / データベース構築 / 理論構築 |
研究実績の概要 |
初年度である2022年は、方略的言語コミュニケーション行動(依頼・説得、慰め・励まし、皮肉・当て擦り、嘘・言い逃れ、その他)がどのような形で実際に遂行されているかを幅広く観察し、その成功(あるいは不成功)を言語学的(すなわち、言語的発話遂行構文の観点から)のみではなく、聞き手の観点(判断)からも規定することを目的とし、方略的言語コミュニケーション行動を幅広く収集し、過去の発話行為研究の知見の下、この分類(データベース化)作業を開始した。データ収集が予定より遅れており、まだ十分なデータ数を得るに至っていないため理論構築(発話行為の理論的分類とこの検証)が行えていないが、特に発話行為の効果に関する理論的考察は開始した。なお、この基盤研究(本研究の基盤として行ってきた基盤研究の一部)として日本語の発話行為(特に、依頼、謝罪、等)に関する過去数十年間の日本語および英語で出版された文献を整理し、この成果の一部を分担執筆の形で公表した。 2023年度は、引き続き方略的言語コミュニケーション行動を幅広く収集し、過去の発話行為研究の知見の下、この分類(データベース化)と理論的考察を行う予定である。データ収集の具体的方法としてElicitation Task法(周到にデザインされた具体的な状況(刺激)の提示によって被験者のメッセージ・デザインの顕在化を観測する手法)を用いて言語メッセージのトークンを収集し、KJ法を用いてこれを分類する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 言語メッセージのデータ収集において、特に自然会話での欺瞞メッセージの収集が予定通りには進んでおらず、理論的モデルの検証のために十分な ケース数が達成されていない。今後データ収集の速度を加速させ、特にWeb(SNS)のおけるデータ収集方法を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、引き続き方略的言語コミュニケーション行動を幅広く収集し、過去の発話行為研究の知見の下、この分類(データベース化)を行う。150~200名のサンプルからElicitation Task法(周到にデザインされた具体的な状況(刺激)の提示によって被験者のメッセージ・デザインの顕在化を観測する手法)を用いて言語メッセージのトークンを収集し、KJ法を用いてこれを分類する。同時に、日・英語の小説、映画、および自然会話コーパス等からも幅広く用例を収集し、過去の発話行為研究の知見の下、この分類を行う。また、収集・分類した発話行為を対象とし、聞き手の観点から、どのようなメッセージ・デザインが「効果的」であるのかを実証的に検証し、これらの成立(成功)メカニズムの語用論的および社会心理学的説明(モデル)を構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度に予定されていたデータ収集(特に、有料サービスを用いた収集)が予定通りに進んでおらず、また、情報収集と研究内あわせのために予定していた海外調査が本務校の業務過多で実現できなかったため。次年度はこれらを行なった上で、本来2023年度に計画していた作業を実施予定である。
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