研究課題
本研究は、これまでの科学研究費の成果を踏まえ、文献によるアクセント史研究史における固有の方法論と問題点を総合的に再検証し、発展的な継承と研究の再活性化を目指す。本研究の初年度である2022年度は、①アクセント史研究の中核となる文献群の再検討と新たな文献の発掘を行うこと、②文献アクセント史研究の基盤となる方法論の再検証を行うことを目的として、研究史の再検証を行う準備を整える作業を進めた。今年度は2回の研究会議を開催した(2022年9月10日、2023年2月20日)。具体的には、(a)日本書紀声点本、(b)古辞書・音義類の声点本、(c)古今和歌集声点本、(d)仏教音楽之節博士、(e)能本・謡本・浄瑠璃本、(f)平曲譜本、(g)近世仮名遣書・語学書、の各領域に関わるアクセント史に関わる先行研究をリスト化し再整理を行うことにある。作業に当たっては2つの大きな方針を立てた。1つめは『日本語アクセント史総合資料 研究編』における文献資料紹介に、出版に際して記載できてなかった諸本、および出版以後に新たに発見された諸本を加える方針である。2つめは金田一春彦1974『国語アクセントの史的研究 原理と方法』塙書房、第二章第三節「アクセント史資料としての過去の文献」に記載される文献資料のうち、総合資料に含めなかったものの拾い出し、および1974年以降に発見された文献資料の拾い出しである。なお、2022年度は雑誌論文を主として作業の対象とすることとなった。リストはエクセルにまとめ、アクセント史研究に有用なタグを複数付けることで、再整理の効率的に行えるようにする。今年度は作業の大きな方針を決定し、仮入力を進めながら問題の所在を確認しつつある。