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2023 年度 実施状況報告書

九州方言音韻現象における方言形成と方言崩壊の非対称性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K00588
研究機関山口大学

研究代表者

有元 光彦  山口大学, 国際総合科学部, 教授 (90232074)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード九州方言 / 形態音韻現象 / 動詞テ形 / 動詞タ形 / 方言形成 / 方言崩壊
研究実績の概要

2023年度(令和5年度)は,昨年度と同様,(1)方言データの収集,(2)方言形成・方言崩壊プロセスの理論化,という2点を計画していた。
まず,(1)に関しては,宮崎県北部の日向市,及び大分県南部の佐伯市のフィールドワークを実施した。これらの地域の調査では,従来の調査票を使用し,動詞テ形・タ形・否定形を中心に方言データを収集した。
次に,(2)に関しては,(1)で収集した2地点の方言データを文字化・分析した。その結果,動詞テ形において非常に興味深い分布が見られた。この分布については,さらに詳細な分析が必要である。なお,これらの方言データはデータベース化が完了している。
一方,いわゆるテ形音韻現象において,理論的に新たな方言タイプが発見された。それは,長崎県対馬・壱岐方言の動詞テ形における,「方言タイプPA#2」と呼んでいるものである。従来のフィールドワークで得られた各地域の方言タイプは記号化して,方言地図化しているが,この方言タイプは類似したものが地理的に近隣地域にも見られることが分かっている。このことからも,確定はしていないが,この方言タイプの存在の可能性があることが予測できる。言うまでもなく,この方言タイプの発見は,方言形成や方言崩壊プロセスの理論化にとって重要な貢献になると考えられる。この方言データや分析については,論文「方言タイプPA#2の発見?―長崎県対馬・壱岐方言の動詞テ形における形態音韻現象―」として発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度(令和5年度)の研究の目的は,(1)方言データの収集,(2)方言形成・方言崩壊プロセスの理論化,という2点であったが,特に(1)においてやや遅れが見られる。
昨年度までは新型コロナウィルス感染症蔓延のためフィールドワークを控えていたが,今年度から再開した。しかし,本研究の調査対象者は高齢者であるため,以前のようには調査ができていない。調査地域の選択や調査対象者の依頼に関しては,その地域の教育委員会等に依頼することもあり,慎重にならざるを得ない。現時点では,状況を考慮しつつ,少しずつフィールドワークを始めている。

今後の研究の推進方策

今後の計画としては,基本的に2023年度(令和5年度)と同様に,(1)方言データの収集,(2)方言形成・方言崩壊プロセスの理論化,という2点を推進していく。
2024年度(令和6年度)は,特に(1)方言データの収集に力を入れる。対象とする地域は,未調査地域である大分県北部及び長崎県北部である。これらの地域の調査を含め,フィールドワークは2025年(令和7年度)前半まで実施する予定である。
(2)に関しては,方言データのデータベース化をはじめとして,動詞テ形における形態音韻現象の記述を継続していく。これらの分析結果の蓄積に基づき,2025年度(令和7年度)には,方言形成・方言崩壊プロセスの全体像を解明する。

次年度使用額が生じた理由

2023年度(令和5年度)は,方言データ収集のためのフィールドワークを再開したが,長崎県北部地域など,当初計画していた地域を調査できなかったことが,最大の理由である。
今年度は宮崎県北部の日向市,及び大分県南部の佐伯市ではフィールドワークを実施することができた。しかし,新型コロナウィルス感染症蔓延の兆しが残っていたことから,調査対象地域の状況を考慮しながら,慎重にフィールドワークを進めることを考えていた。本研究の調査対象者は高齢者であるため,なおさら慎重にならざるを得なかった。そのため,結果として2地点しか実施できなかった。
2024年度(令和6年度)は,前年度に調査できなかった地域,特に長崎県北部及び大分県北部を中心にフィールドワークを進める計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 方言タイプPA#2の発見?―長崎県対馬・壱岐方言の動詞テ形における形態音韻現象―2024

    • 著者名/発表者名
      有元 光彦
    • 雑誌名

      山口大学教育学部研究論叢

      巻: 73 ページ: 135-144

  • [備考] 方言タイプPA#2の発見? : 長崎県対馬・壱岐方言の動詞テ形における形態音韻現象

    • URL

      https://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/search/item/29506?q=%E6%96%B9%E8%A8%80%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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