研究課題/領域番号 |
22K00621
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山根 典子 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (70319391)
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研究分担者 |
Teaman Brian 大阪女学院大学, 国際・英語学部, 客員研究員 (20294481)
Head Philip 大阪女学院大学, 国際・英語学部, 専任講師 (30801998)
Wilson Ian 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (50444930)
藤森 敦之 静岡県立大学, その他部局等, 教授 (80626565)
進矢 正宏 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (90733452)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ジェスチャー / ミラーリング / 発話 / ポーズ / 口形フィードバック |
研究実績の概要 |
調音音声学・音韻論の観点から見ると,身体や顔や舌のジェスチャーが韻律階層のどの部分にどのような影響を及ぼすのかを解明するため,以下の通り実験研究を行った。英語学習者のボイスオーバー課題で、口喧嘩のシーンでの怒りの表現をミラーリングで学習をした結果、フォーカス部分に音声卓立が顕著に現れ,発話全体(utterance)でピッチ幅が拡大した。このことはAILA World Congressで発表済みである。言語を話す際の流暢さは速度だけでなく、ポーズの頻度や置かれる場所も重要であるが、これまでの研究で英語を学ぶ日本人学習者がネイティブスピーカーよりもポーズの頻度が多く,ポーズの位置にも問題があることがわかっている。そこで教育的介入によってこの問題が改善できるかを調査した結果,手の運動を伴う発音指導が読み上げタスクにおける節末(clause)位置のポーズの改善に寄与することが示された。このことはProceedings of 4th International Symposium on Applied Phoneticsで発表済みである。日本語母語話者の音声訓練未経験者では、発話全体(utterance)の印象が異なるが,口の開け方が聴覚印象に反映されるのかは研究されていない。そこで口形フィードバック支援システムを使用して口角上位時間率を測定したところ,アナウンス経験群では未経験群に比べて有意に高かった。このことは日本音声学会で発表済みである。また,アナウンス経験者と未経験者では,母音の発音に違いがあると言われているがその実態を調査するため両者に読み上げ課題を課したところ,経験者では未経験者に比べて音節核(syllable)の母音スペースに広がりが認められた。このことは日本音響学会で発表済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
身体全体の動きが発話全体に,手の動きが節に,舌の位置が音節核に,音声的な卓立をもたらす一要因として機能していることを検証した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年では,音韻句レベルへの影響について検討するため,日本語でフォーカスの位置を変えた実験文を交えて予備的な実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用額が生じた理由は,学内業務と重なり国際学会への参加ができず旅費の執行ができなかったこと,また実験補助の雇用ができなかったことである。今後は旅費や雇用にあてる。
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