研究課題/領域番号 |
22K00633
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
太田 陽子 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 教授 (20373037)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 教育文法 / 文脈記述 / 場面 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまで意味と形式の説明にとどまりがちであった文法表現の記述を文脈と機能に結び付け、課題達成型の日本語教育に役立つものにするために、現在入手可能な各種コーパスに加え、さまざまな場面を含んだシナリオ分析を行うことを目的としている。 令和4年度にはそのための事前準備として、分析資料としてシナリオの収集とデータベース化に取り組んだ。具体的には、2021年度1年間分の『月刊シナリオ』(シナリオ作家協会)、『脚本の月刊誌 ドラマ』(映人社)、『'20年鑑代表シナリオ集』(日本シナリオ作家協会)に収録された脚本を対象とし、作品の選択や入力方法、必要な情報の記録などの手法について、適宜、研究代表者の参加する研究会などの参加者にも意見を求めながら、確定していった。その結果、当初に予定していた長編20本程度では作者の個性や作品の特徴による偏りが避けがたく、本研究のためには、様々な登場人物や場面が集まるよう、短編を数多く収集していくほうが効果的であることが見えてきた。そこで、令和4年度は、作品の収集と入力を積み重ねているところである。その結果、フィクションではあるものの、既存のコーパスではカバーできないさまざまな場面や年齢層、キャラクターの言語行動が拾えてきていると考える。 もう一方の教材分析については、新しく教材をそろえる前に、既存の代表的な教科書の場面設定やタスクの整理をしている段階である。現時点では、教材のタスクは場面としても表現の面でも非常に限定的であることが観察されている。今後の研究においては、アカデミックや就労、生活のそれぞれで発表されたCan-doリストを活かして、分析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初の予定から、方法や対象に修正を加えたため。特に、業者への委託を念頭において計画していたデータベース化について、著作権等への配慮から、より適切な方法へ変更することにしたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、令和4年度の遅れを取り戻すべく、①分析資料としてのシナリオ収集とデータベース化、②教科書調査の2点を行う。シナリオは、2021年度分と同様、2022年度1年分の『月刊シナリオ』(シナリオ作家協会)、『脚本の月刊誌 ドラマ』(映人社)、『'21年鑑代表シナリオ集』(日本シナリオ作家協会)を対象として作業を進める。教科書調査は、タスクベースのものを中心に、新しく出版されたものも含め、収集と観察を行う。令和4年度はデータベース化の作業のみで、具体的な表現形式の抽出や、考察内容の論文化には至らなかったため、令和5年度には研究成果の発表も始めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、業者の利用を念頭に計画していたデータベース化作業を手作業に戻したこと、対象とするシナリオの選定基準を変更したこと、それらに伴い、アルバイトの確保が後期になってしまったことなどにより、作業の進捗に遅れが生じたことが主な理由である。また、参加を予定していた学会が新型コロナウィルス感染拡大の関係で引き続きオンライン開催となったことも、使用計画に影響した。 令和5年度は、令和4年度の遅れを取り戻すべく、入力作業の人件費の支出を第一に考える。また、新規に追加購入をするシナリオに加え、教材分析についても、すでに所有していた資料の分析を終えて、近年刊行されたものへと分析対象を広げていくことが必要なため、書籍購入を中心とした物品費を請求している。その他、研究成果の発表のための旅費も計画的に使用していく予定である。
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