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2023 年度 実施状況報告書

事象・動作に関する大規模連想ネットワークの拡張と語彙学習支援の効果

研究課題

研究課題/領域番号 22K00646
研究機関拓殖大学

研究代表者

寺岡 丈博  拓殖大学, 工学部, 准教授 (30617329)

研究分担者 石本 祐一  ものつくり大学, 技能工芸学部, 准教授 (50409786)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード語彙学習 / 連想 / 動詞 / 慣用句
研究実績の概要

令和5年度は,語彙学習システムで収集した問題回答データについて更に分析を進め,海外の日本語学習者を対象に行う実験の方針を定めた.また,学習システムにおいて語彙選択問題(問題文と回答選択肢(正解語・不正解語))の自動作成の元になっている動詞連想概念辞書について連想語データの整備を行い,問題生成の効率化を図った.
分析した問題回答データは,日本語学習者の留学生26名(拓殖大学日本語別科)が回答したものである.学習者が問題に含まれる動詞について事前に「知らないで(未知)」あるいは「知っていて(既知)」回答したかどうかが回答内容(正解あるいは不正解)とともに記録されている.この学習システムの「学習」モードで学習者が間違えた問題については,学習システムの「復習」モードで正解するまで繰り返し出題し,正解するまでの回数が記録されている.この「学習」と「復習」の分析結果より,日本語能力試験N2相当以下のクラス(拓殖大学日本語別科の初級・初中級・中級)に所属している学習者の語彙学習に適していることがわかった.また,N2相当以上のクラス(拓殖大学日本語別科の中上級・上級)の学習者には,「水を差す」や「頭を冷やす」といったような慣用句としても使われる表現に関しては間違いが見られたが,「復習」の1回目ですべて正解に至っていたことからも,上級者向けには,字義通り(リテラル)ではなく,比喩などのレトリックの表現に関する学習に役立つ可能性あることを確認することができた.
一方,代表者の海外渡航が昨年度に引き続き難しかったこともあり,海外在住の日本語学習者に語彙学習システムを利用してもらうことができず,国内と海外の日本語学習の問題回答データを比較し分析することは次年度の課題として残っている.そのため,次年度中には海外在住の日本語学習者の回答データを取得すること目指したい.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和5年度は,既に取得した国内の日本語学習者に関する問題回答データについて更に詳しい分析を行い,日本語のレベルに応じて語彙学習システムの出題内容を変えることで効率化に繋がる可能性を示すことができた.また,問題文と回答選択肢に必要な連想ネットワークを構成する動詞連想概念辞書に関しては,「動作主」と「対象」の連想語データの整備を行い,問題生成の質の向上を図った.
一方で,予定していた語彙学習システムを海外在住の日本語学習者に利用してもらうことに関しては,代表者が渡航できなかったため,未実施の状態となっている.そのため,次年度中に渡航し,海外の日本語学習の回答データを取得を分析することで,国内・海外の日本語学習者間で「学習」や「復習」がどのように異なるのかを調べる予定である.
以上のように,回答データの分析や語彙学習システムの整備という面においては順調に進めることができているが,海外在住の日本語学習者による問題回答データの取得と分析という面では遅れが生じているといえる.

今後の研究の推進方策

今後は海外在住の日本語学習者による問題回答データを取得でき次第,国内と海外の学習者間で語彙学習システムによる学習効果について分析したい.その他,引き続き動詞連想概念辞書を整理し,連想ネットワークを拡張することを並行して取り組むつもりである.

次年度使用額が生じた理由

海外の日本語学習者に本研究の語彙学習システムを一定期間利用してもらうことを当初は想定していたが,そのための渡航ができなかったため謝金を計上できなかった.それが次年度使用額が生じた主な理由である.次年度は,海外の学習者に利用してもらうことを計画しており,その謝金として使用したいと考えている.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Relevance-Aware Question Generation in?Non-task-Oriented Dialogue Systems2023

    • 著者名/発表者名
      Amika Chino and Takehiro Teraoka
    • 雑誌名

      Virtual, Augmented and Mixed Reality

      巻: 14027 ページ: 344~358

    • DOI

      10.1007/978-3-031-35634-6_24

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『日本語日常会話コーパス』にみる日常会話音声の基本周波数と談話行為の関係2023

    • 著者名/発表者名
      石本 祐一
    • 雑誌名

      言語資源ワークショップ発表論文集

      巻: 1 ページ: 185~192

    • DOI

      10.15084/0002000126

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 事象・動作に基づいたオノマトペの日中機械翻訳2024

    • 著者名/発表者名
      閻 思宇、千野 愛実花、寺岡 丈博
    • 学会等名
      情報処理学会第86回全国大会
  • [学会発表] 曖昧性を持つ形容表現の極性変化2024

    • 著者名/発表者名
      大澤 拓巳、寺岡 丈博
    • 学会等名
      情報処理学会第86回全国大会
  • [学会発表] 長期的な快音源聴取による片頭痛患者及び健常者の心理反応変化2024

    • 著者名/発表者名
      鈴木陸央, 小川洸, 石川智治, 辰元宗人, 牧勝弘, 石橋賢, 石本祐一
    • 学会等名
      第19回日本感性工学会春季大会
  • [学会発表] Comparison of psychological changes from listening to pleasant sounds in patients with migraine and control patients2024

    • 著者名/発表者名
      Rikuo Suzuki, Tomoharu Ishikawa, Muneto Tatsumoto, Katsuhiro Maki, Ken Ishibashi, Yuichi Ishimoto
    • 学会等名
      International Society of Affective Science and Engineering (ISASE2024)
    • 国際学会
  • [学会発表] 焦点ベクトルによる文脈を考慮した物語文の自動生成2023

    • 著者名/発表者名
      秋山 陸、寺岡 丈博
    • 学会等名
      2023年度人工知能学会全国大会(第37回)
  • [学会発表] ユーザの回答に依存した疑問詞の同定とその効果2023

    • 著者名/発表者名
      千野 愛実花、寺岡 丈博
    • 学会等名
      2023年度人工知能学会全国大会(第37回)
  • [学会発表] 会話場面による日常会話音声の韻律の違い2023

    • 著者名/発表者名
      石本祐一
    • 学会等名
      シンポジウム「日常会話コーパス」IX

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公開日: 2024-12-25  

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