研究課題/領域番号 |
22K00665
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大和 祐子 京都大学, 国際高等教育院, 准教授 (80707448)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 日本語テキスト処理 |
研究実績の概要 |
本年度は、テキスト(文章)の読みの過程を分析する際に参考にするために、二字漢字語(単語)レベルでの語の正誤判断を調べる視線計測実験を行った。現段階のデータから分かったこととして、漢字系学習者は日本語の語としては未知であると考えられる語においても、迅速かつ正確に語の正誤の判断ができることがわかった。とはいえ、日本語の未知語あるいは中国語と日本語で意味的なずれがみられる語などにおいても、正確に意味を把握できているかについては、この実験結果からのみでは結論づけることができない。また、テキスト(文章)の中で当該の語が提示されることによって、文脈から推測して語の意味を正確に判断できる可能性も考えられるため、その点については、さらに調査を重ねる必要がある。また、今後、同様の実験を非漢字系学習者に対しても実施する必要がある。 さらに、非漢字系学習者については、実験を実施する前の段階として、彼らの日本語の語彙知識と当該の語を読めるということとの関係を詳細に調べた。その結果、非漢字系学習者の中にも語彙知識と漢字語の読み書き能力との能力バランスには、いくつかのパターンがあり、語彙知識に対して漢字語の読み書き能力が高い(つまり漢字語を読めるが意味がわからない)という学習者も一定数いることがわかった。このようなタイプの非漢字系学習者がテキスト内で当該の語が提示された時に、どのように意味を把握していくかについて、さらに調査を重ねる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習者のテキスト読み処理過程を調べる実験準備の中で、一部の漢字がうまく表示されないなど技術的な問題が生じたため、一部実験刺激の変更が必要になるなど、実験の実施が予定より遅れている。しかしながら、非漢字系学習者のテキスト読み処理調査の研究課題は関連する調査の結果により明確化できているため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
実験で使用すう日本語テキストの準備をさらに進める。また、調査を効率的に行うために、調査地として予定している日本語教育機関との調整を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査の一部を調査地との調整の関係で次年度に実施することになる見込みのため。また、情報収集のために参加した学会がオンライン参加が可能で旅費が不要となったため。
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