研究課題/領域番号 |
22K00667
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高橋 志野 愛媛大学, 国際連携推進機構, 教授 (30363261)
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研究分担者 |
棚田 洋平 一般社団法人部落解放・人権研究所(調査・研究部), 企画・研究部, 研究員 (00639966)
新矢 麻紀子 大阪産業大学, 国際学部, 教授 (70389203)
向井 留実子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (90309716)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 地域日本語 / 社会教育 / 日本語ボランティア / 人材養成・研修 / 実践コミュニティ / アクションリサーチ |
研究実績の概要 |
多文化共生社会の達成に向けて、地域日本語教室も、言語教育から社会教育への転換が求められている。本研究では、新たな理念のもとで活躍できる日本語支援人材の育成を目指し、計画、実践、観察、振り返りのサイクルでアクションリサーチを行うための実践コミュニティ構築を試み、地域の変容に必要な要素を明らかにすることを目指す。具体的には、従来型の日本語教室の多い愛媛県を対象とし、新旧のボランティアがともに行動・意識変容できる要素は何か、理念・目標を学ぶ場として交流会・養成講座を、実践や省察の場として日本語教室を開設し、同じ課題に悩む地域に有効なモデルを示すことを目標とする。 2022年度は、愛媛県の新旧の日本語ボランティアと広くつながり、地域の実態を把握することを目標とした。6月~8月に愛媛県内の22の日本語ボランティア団体等の人材養成・研修の現状把握のためアンケート調査を実施した。また、5月と3月に県内の3ボランティア団体、10月に県外の先進的地域(徳島県)へ訪問調査を行った。それと並行して、具体的な実践コミュニティの施行として、以下の4つの事業を行った。 a)メールリストを作り日本語教育や多文化共生に関する情報配信、b)短期(半日)研修会3会(7月・11月・1月に各1回)、c)オンライン情報交換会9回(月1回、1時間):、d)日本語教室の試行的設置(活動回数30回) なお、2022年度の研究成果は「日本語教育学会2022年度支部活動【四国支部】、新時代の日韓共同課題フォーラム:日韓の外国人政策と多文化社会』第1回等、7件の報告・発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の2022年度の予定は、実践コミュニティ構築の行程としては、1) 情報提供のためにメーリングリスト作成、2) 各市町の関係者と連携による交流会の実施、3) 養成講座の実施、4) 参加者、コミュニティに関わる行政、国際交流協会、ボランティア団体との意見交換会の実施であったが、いずれも順調に実施された。また、2023年度に予定していた「日本語教室」と見学者・日本語ボランティアの受入れは、社会教育としての地域日本語の現場の提供のため、1年早く今年度から試行的に実施する運びとなった。一方、研究の行程としては、1) 「日本語教室」開室に向けた外国人のニーズ調査、2) 情報交換会、養成講座、意見交換会参加者にアンケート実施の2点を予定していたが、1) 外国人へのニーズ調査の一部は、研究代表者ならびに研究協力者1名が関与している、愛媛県地域日本語教育体制づくり事業の下で行った。また、愛媛県内の日本語ボランティア団体等の人材養成・研修の現状を把握するため、アンケート調査も行った。
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今後の研究の推進方策 |
1) 実践コミュニティの構築の工程:2022年度に引き続き、1) 情報提供のためにメーリングリスト作成、2) 各市町の関係者と連携による交流会の実施、3) 養成講座の実施、4) 参加者、コミュニティに関わる行政、国際交流協会、ボランティア団体との意見交換会の実施、5) 「日本語教室」の実施と見学者・日本語ボランティアの受入れ本格実施を行い、その過程で、計画(研究 組織で立案)、実践(養成講座等、日本語教室)、観察(現場記録、参加者に対するインタ ビューやアンケート)、振り返り(関係者との意見交換)のサイクルでアクションリサーチ を行う。
2) 研究の工程:2022年度に引き続き、1) 「日本語教室」開室に向けた外国人のニーズ調査と、2) 情報交換会、養成講座、意見交換会参加者にアンケート調査を行う。また2023年度からは、「日本語教室」の見学者・学習支援者への調査、2) 他県の社会教育の活動をする教室の実践見学、3)県内で人材養成・育成の研修を実施している日本語ボランティア団体等の調査を行い、日本語ボランティアへの養成・育成に関わる研修のどのような活動や働きかけが、参加者の意識変容・行動変容に有効であるのかを分析予定である。
3) 研究成果の公開:上記工程から得られた研究成果は、学会発表や論文投稿によって随時公開を予定している。また、2023年度からは、研究分担者・研究協力者とともに、愛媛県内で成果報告会を開催予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度はコロナ禍による移動制限のため、参加学会等もオンラインに変更となったものも多かった。そのため、学会出張費の支出が予定額より激減し、繰り越しが必要となった。しかし、2023年度は対面実施の学会が増えることが予想されるため、その旅費と発表費用として使用予定である。また、県内だけでなく、他県の社会教育の活動をする教室の実践見学調査も予定しているが、調査のために、参考文献の購入費ならびにインタビューデータの文字起こし謝金も必要としている。そして、今年度からは研究分担者や研究協力者とともに、県内で成果報告会を開催予定である。
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