研究課題/領域番号 |
22K00671
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
品川 なぎさ 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (30445142)
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研究分担者 |
稲田 朋晃 十文字学園女子大学, 留学生別科, 講師 (20799233)
鈴木 知子 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (60728682)
赤津 晴子 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (40791504) [辞退]
吉田 素文 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (00291518)
矢野 晴美 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60406030)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 医学部留学生 / 外国人医師 / 医療コミュニケーション / 医療面接 / 患者視点 / 医療面接表現 / 教材開発 / 医学生の医療面接 |
研究実績の概要 |
本研究では、医学部留学生の患者とのコミュニケーションにおいて、次の2点を明らかにすることを目的としている。まず①日本語の観点から、(1)病院実習前、実習後の留学生の日本語にはそれぞれどのような特徴があるのか、(2)実習期間を経て、どのような点は改善され、どのような点は改善されないのか、この2点を解明し、医療コミュニケーションを阻害する要因は何かを明らかにする。また②患者の観点から、(1)患者が留学生のコミュニケーションに不信感を持つのはどのような点なのか、(2)実習期間を経て、変わらずに不信感を持たれるのはどのような点なのか、この2点を解明し、留学生の日本語において患者の満足度を下げる要因は何かを明らかにする。 2022年度は、医学部6年生の臨床実習後の医療面接試験のデータを収集し3年前の臨床実習前の医療面接試験のデータとの比較を行った。また、模擬患者へのアンケート及びインタビュー調査を行い患者の観点からの分析を行った。 2023年度は上記前年度に収集したデータを基に、以下の2点を実施した。 ①医学部留学生との比較対照として、日本人医学生の医療面接の日本語について分析を行った。日本語の文法や語用にどのような特徴があり、また患者視点からそれらがどのように捉えられているのか分析を行った。 ②前年度および今年度のデータを基に、医学部留学生向けの医療面接表現集を完成させ、ウエブサイトに教材として公開した。表現集には、単に医療面接で使える表現を掲載するのみでなく、留学生が陥りやすい発音や文法などの誤用の解説や、自己紹介の注意点や共感の仕方などについての解説を加えた。また、公開後に利用者へのアンケート調査を行い、利用者のニーズを基に教材の修正や追加を順次行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は研究代表者および共同研究者の所属が変更したこと、さらに研究メンバーの削除・追加を行う必要があったことから、所属先での倫理申請や追加の倫理申請を行うなど、2023年度の前半は研究体制を整えるのに時間を要した。 また、2023年度の後半は臨床現場でのデータ収集に時間を要した。2023年度は医学部留学生の卒業生が研修医として臨床現場に出る年であり、臨床現場でのデータ収集を行う予定であった。臨床現場で患者に研究協力を依頼することは倫理面においても慎重な手続きが必要である。共同研研究者および研修医の指導医である臨床医らとの打ち合わせが必須であり、その調整や準備に時間を要した。さらに研究協力者である研修医らも多忙であり、彼らへの研究説明会の日程調整やその準備に時間を要した。 2023年度末には体制が整い、協力が得られた研修医および患者から順次データ収集を始めている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、下記の2点を計画している。 ①2023年度末から収集している臨床現場のデータを継続して取集する。協力が得られる限り年データを収集し、それらのデータを基に患者とのコミュニケーションの様相や困難点について検討する。 ②ウエブサイトに公開した医療面接表現集の改定および動画教材の作成を行う。これまでの調査・研究で得られた知見を基に、医療面接表現集を拡充させるとともに、表現集を見ながら視聴できる動画教材を作成する。シナリオ作成および医学的正誤の確認、模擬患者や学生医師のリクルート、動画撮影場所など各作業を分担し着手している。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の計画が、新型コロナウイルス感染防止対策から病院内への実習生らの立ち入りが一部制限されたこと、また研究者らの立ち入りが制限されたことから、臨床実習での患者とのコミュニケーションデータが収集できず実施できなかった。また申請者ら研究メンバーの所属移動に伴い、今年度の計画が遅れ研究計画の見直しを行う必要があった。 そのため、次年度の計画であった動画教材の作成を前倒しで実施することになったが、動画教材作成に予定していた謝礼等の規模が確定せず次年度使用額が生じる結果となった。
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