研究課題/領域番号 |
22K00701
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
長 加奈子 福岡大学, 人文学部, 教授 (70369833)
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研究分担者 |
川畠 嘉美 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (70581172)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 使用基盤モデル / 第二言語習得 / 認知言語学 / 英語教育 |
研究実績の概要 |
認知言語学における使用基盤モデルは第一言語習得において検証され、個々の用法の使用頻度が対象言語の認知パターン習得において重要な役割を果たしていることが明らかにされている 。本研究課題は、第二言語習得、特に日本における英語学習のように、対象言語のインプットが極めて貧弱な外国語として英語を学習するEFL環境において、対象言語のインプットと認知パターンの形成プロセスを明らかにし、EFL環境下における外国語習得において、認知言語学において提唱される使用基盤モデルの適用可能性について明らかにすることを目的としている。 研究2年目である2023年度は、前年度収集した自由英作文のデータを分析し、データ収集のタスクとしての適切性を検証した。その結果、和文英訳や文法問題と異なり、自由英作文は学習者自らが言語化したい出来事とその言語形式を選択していること、また、情報の提示順序を選択していることから、学習者の母語である日本語の事態把握がどのように英語に表れているかを見るタスクとして適切なものであることが明らかとなった。そこで、日本語母語話者にとって難しい文法項目である時制に焦点を当て、パイロット調査を実施した。パイロット調査では前年度に検討した、認知言語学の知見に基づく教授法を用いて時制の指導を明示的に行い、それと並行して多読学習を行わせた。前年度と同様に自由英作文のタスクを実施し、その中に表れる学習者の時制のエラーについて分析を行った。その結果、認知言語学に基づく指導と多読学習で、有意な学習効果が表れたが、効果量はあまり大きくなかった。この結果を基に、教授法の改良を行った。2024年度は、改良を行った教授法を用いて本調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した内容について、概ね順調にスケジュール通りに実施できているため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は2023年度のパイロット調査の結果を基に、本調査を実施する。パイロット調査の結果に基づき改良を行った教授法を用いて、時制に関して明示的な指導を行うと共に、多読学習を並行して実施する。2022年度に実施したパイロット調査と同じトピックの自由英作文をタスクとして学習者に行い、認知言語学に基づく明示的指導の効果と多読学習の効果を総合的に検証する。合わせて、研究分担者の勤務する教育機関において、同一のトピックで自由英作文のタスクを実施し、様々な習熟度のデータを集め、教授法のさらなる改良を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の使用しているノートPCが不調となったため、2023年度残額と2024年度分を合わせて新しく購入する必要が発生したため。
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