研究課題/領域番号 |
22K00708
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
數見 由紀子 金沢大学, 外国語教育系, 教授 (40283147)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 英語構文の体系化 |
研究実績の概要 |
本研究では、主語・述語の関係にある「名詞句+非定形動詞(分詞または不定詞)」が単独で生じる場合(記事見出しや掲示・標識など、例:Masks required)と文に組み込まれる場合(分詞構文、知覚動詞構文など)を合わせて体系化し、統一的に説明することを目的とする。 2年目となる2023年度は、初年度の予備調査をふまえ、2回目の予備調査を行った。また、初年度の研究成果を中間報告をまとめ、紀要に投稿した。 2回目の予備調査では、1回目の調査結果をもとに提示例を再検討し、同じ例を一部残して、新たな例と組み合わせた。調査方法は、1回目と同様にアンケート形式とし、オンデマンド教材(二つのセット)を提示し、それぞれ48名と46名の回答を得た。1セット目では、提示例(英語)の解釈を日本語で書いてもらい、2セット目では提示例(英語)とともに名詞句と文(いずれも英語)を示し、回答者自身の解釈に近い方を選んでもらった。 全体的な傾向は1回目の調査と同様で、名詞句的解釈(ものごと読み)よりも文的解釈(イベント読み)が多かったが、個々の例では異なる傾向が見られた。1回目の調査でも用いたMore files foundでは文的解釈の割合が7割程度と高く、1回目と同様の結果であった。一方、同じfoundが含まれるGold ring found on beachでは文解釈は6割程度とやや低く、Soup thrown at Mona Lisa paintingでは名詞句的解釈と文的解釈の比率がほぼ同じであった。また、「名詞句+形容詞」の例(Leadership training now available)を参照基準として含め、この場合は9割程度が文的に解釈されたのに対し、「名詞句+to不定詞」の例(Prime minister to meet US president)では、名詞句的解釈が文的解釈を上回った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に研究実施計画を再検討し、予備調査を2段階に分けて実施する形に変更した。そのため、2回目の予備調査を2023年度に行い、当初、2023年度に計画していた教材作成と事後調査を最終年度(2024年度)に実施する形で調整したため。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度の2024年度には、「名詞句+非定形動詞」の例を用いた教材の作成と、この教材の学習効果を検証するための事後調査を行う。「名詞句+非定形動詞」の構文の意識づけと学習による文的解釈の生じ方、文中での応用の可能性や有効性を探り、その成果発表を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費については、関連性が高いテーマの研究会が日帰り可能な会場で開催されたため、計画した額よりも少なくなった。 謝金については、2回目の予備調査で、比較のために、1回目の調査と共通の例文を多く使用したことで、母語話者による例文の作成・チェックが不要となった。 最終年度には、主に、教材作成・調査(英文記事使用料、母語話者による例文作成・チェック、教材学習・事後調査の協力者への謝金)と成果発表(学会・研究会参加のための旅費、論文掲載料)に使用する予定である。
|