研究課題/領域番号 |
22K00716
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
山本 佳代 宮崎大学, 国際連携機構, 准教授 (70438323)
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研究分担者 |
荒木 瑞夫 近畿大学, 理工学部, 教授 (20324220)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 学際性 / 獣医学 / 研究論文 / ESP / ジャンル分析 |
研究実績の概要 |
学術分野におけるこれまでのESP(English for Specific Purposes)は、おおむね学術分野内におけるその特殊性に言及されてきた。しかしながら、学際的な研究が増え、大学の学科新設では分野の組み合わせが行われており、ESPを新たな視点で捉え取り組む必要に迫られている。学術分野内の異質性や多様性、学際性を具体的に浮かび上がらせ、ディスコースコミュニティの正確な把握による適切なタスク提供が不可欠である。研究初年度は、獣医学分野の研究論文の学際性について調査を行い、学会発表と論文作成を行った。獣医学は獣医師を養成する専門性の高い領域でありつつ、人間の医学と研究・臨床両面で密接な関係がある。人間・動物、生態系の健康をひとつとみなして取り組む「ワン・ヘルス(One Health)」のように、両者を統合して取り組む考えも推奨されている。 まず、ジャンル分析の観点から獣医学の研究論文の特徴について探索的に分析を試みた。論文の中でも自らの研究分野を位置付ける場とされるIntroductionに焦点を置き、構成の特徴、CARS(Creating-A-Research-Space)モデルによるディスコースの構成の特徴を取り出すことを試みた。獣医学論文の構成は、標準的なIMRDで典型的な実証論文の構成がほとんどを占めた。Introductionで人間の医学への研究を参照する頻度が高く、人間も含め複数の種を俯瞰的に見る傾向があった。レトリック的特徴としては、研究の意義の主張において当該研究の社会的重要性の強調が多く、獣医学分野の特徴の一つとして指摘した。このようなIntroductionのディスコースの特徴を、学術分野の学際性の視点から説明を試みた。これらの知見をもとに、獣医学分野におけるESPの具体的な教育的指針についても検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通りには進んでいないが、研究組織の役割の調整を行い、本課題のテーマに関連する基礎研究を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究組織において実施可能な役割分担を調整しながら、研究を進める。昨年度に引き続き、領域横断的な分野の研究論文のコーパスの分析を進め、学際性とレトリックの関係についての考察を行う。また、ディスコースコミュニティの調査の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進み具合から研究組織の役割分担の調整を行い、一部予算使用が計画通りに行われなかったため。 次年度、計画を再度調整したうえで、当初予定していた予算執行と研究を継続する予定である。
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