研究課題/領域番号 |
22K00733
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
若有 保彦 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30451652)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 教師教育 / 教科指導 / 英語授業改善 / 支援のニーズ |
研究実績の概要 |
研究計画では、2022年度が研究の1年目であることから、今後研究を進める上で必要なデータの収集期間と位置づけた。本研究では、授業分析及び研究協議の分析、教員によるリフレクションの3つを主な研究方法としていることから、必要なデータは次の通りとなる:(1) 研究対象とした教員の英語授業映像データ、(2) 授業研究協議の録音データ、(3) 授業及び研究協議後の録音データ。 最初に、研究対象となる英語教員の確保及び教員の在籍する学校や学校を管轄する教育委員会に協力を要請し、承諾を得る作業を行った。本研究の課題は「地方の小規模校における教科指導ミドルリーダー養成モデルの構築」であり、研究対象となる教員は地方の小規模校に勤務していることが前提となる。しかし、計画段階で研究協力の内諾をいただいていた教員が2022年度に小規模校の範囲を超える規模の学校へ異動したことで、急遽別の教員を探す必要が生じた。 研究協力者決定後、上で述べた研究データを集めるために、以下のスケジュールで授業参観参観、授業に関する研究協議、教員へのインタビューを実施した:(1)第1回目の授業参観及び研究協議(対面実施):6月10日(金)、(2)第1回目のインタビュー(対面実施):7月1日(金)、(3)教員志望の学生の授業に対する助言の実施:7月下旬、(4)第2回目の授業参観及び研究協議(指導助言担当のうち1名はオンラインでの参加):9月12日(月)、(5)第2回目のインタビュー(対面実施):10月7日(金)、(6)第3回目の授業参観及び研究協議(指導助言担当のうち1名はオンラインでの参加):2月10日(金)、(7)第3回目のインタビュー(対面実施):2月24日(金) 次に、収集したデータのうち、授業映像データについて、後期から学生アルバイトに文字起こしの作業を依頼した。現在は第3回目の授業映像の文字起こしの途中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、2022年度の研究スケジュールは以下の通りであった:(1)1回目の授業撮影及び研究協議(6月予定)、(2)1回目の授業映像及び研究協議の録音の文字起こしとリフレクションの確認(7月予定)、(3)授業者のセミナーへの参加、研究会での授業提示及び学生や若手教員対象のセミナーの参加(8月予定)、(4)2回目の授業撮影及び研究協議(オンラインで9月に予定)、(5) 2回目の授業映像及び研究協議の録音の文字起こしとリフレクションの確認(10月予定)、(6) 3回目の授業映像及び研究協議(オンラインで1月に予定)、(7)3回目の授業映像及び研究協議の録音の文字起こしとリフレクションの確認(2月に予定)。 上の計画に関して、年3回を予定した授業のビデオ撮影及び研究協議、(インタビューを通じての)リフレクションの確認は研究対象の教員の勤務の都合や研究協力者の授業スケジュールの関係で時期が少し遅れることはあったが、ほぼ予定通り実施できた。 次に、当初予定していた「授業者のセミナーへの参加、研究会での授業提示及び学生や若手教員対象のセミナーの参加」については、研究対象となった教員の多忙な状況、及びインタビューで明らかになった教員のニーズを考慮して、教員志望学生の英語模擬授業に対する助言、同年代の教員へのオンラインによる授業研究協議という形式に変更して、夏休み中の7月、冬休み中の12月、春休み中の3月にそれぞれ1回ずつ、合計3回実施した。学生への指導経験、授業提示、授業研究協議という教科指導のミドルリーダーになるために意味のある経験ができたことから、概ね順調と言える。 授業映像及び授業研究協議、インタビューの文字起こしに関しては、授業研究協議やインタビューの文字起こしができていないことから、この部分は予定より遅れているが、全体としては概ね順調に進んでいると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
上の「現在までの進捗状況」で授業研究協議やインタビューの文字起こしが進んでいないことを指摘したが、主な理由はアルバイト学生の文字起こし作業に当初の想定より時間がかかっていることにある。学業や教員採用試験の準備の関係もあり、現在は週1日2時間ほど定期的に行う形で進めているが、今後はアルバイト学生の数を増やすなどして、データを少しでも早く分析可能な状態にすることを検討したい。 同時に、学生による文字起こしの作業の負担を軽減するため、録音した音声データを、情報漏洩のリスクがないオフラインの環境でも自動で文字起こしできるICレコーダーを購入し、昨年度第3回目の授業研究協議及びインタビューから活用している。精度は約7割程度であるため、人間による確認は依然として必要になるが、それでも今後の文字起こしの負担を一定程度減らせることが期待できる。ただし、このICレコーダーは複数の言語が使われる状況では文字起こしの精度が大幅に低下するため、録画した英語授業の文字起こしはこれまでと同様の形で作業を進めることになる。 研究計画を遂行する上でのその他の課題としては、研究対象となる教員が多忙な状況にあり、当初予定したセミナー等の実施が難しいことである。教科指導のミドルリーダーになるために重要と思われる経験を、当該教員の負担にならない形で積ませるにはどうしたらよいか。対応策としては、移動の負担のないオンラインを活用した学生の模擬授業指導等を検討中である。 もう一つの課題は、教員の勤務する学校のオンライン環境が必ずしも良好とは言えないことである。昨年度はオンラインによる授業協議がストップしたり、授業映像のデータ転送に非常に時間がかかるなどの問題が生じた。今年度は、この問題への対応策として、授業映像の画質を落としてデータ量を少なくした形で転送を行うことを検討している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度購入を予定していたもののうち、以下については昨年度の購入を見合わせた:(1)データ分析ソフト(NVivo-Window教育用 ダウンロード版)については、授業映像や研究協議、インタビューのデータの文字起こしが予定通り進んでいないため。文字起こしが進んだ段階で最新版を購入したいと考えている。(2)プロジェクター及びスクリーンについては、研究対象教員の勤務校での実施が可能となったため、現時点では購入を見合わせている。ただし、これらについては、研究対象教員が行うセミナーで使用予定であり、実施が決まった段階でより最新のものを購入する予定である。 研究対象の教員がリフレクションの入力に活用を予定していたノートパソコンについても、研究協力者の変更に伴い、新たに対象となった教員の負担を考慮して現在は購入を見合わせている。ただし、今後リフレクションの入力が可能になったり、現在利用しているパソコンにトラブルが生じた場合には最新版を購入する予定である。 旅費については、昨年度はコロナ禍ということもあって秋田県外への出張を自粛していた。しかし、5類に移行して制限がなくなった今年度については、当初の計画通り、県外で開催される学会等にも参加する予定である。
|