研究課題/領域番号 |
22K00734
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
物井 尚子 (山賀尚子) 千葉大学, 教育学部, 教授 (70350527)
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研究分担者 |
J・A Elwood 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (00400614)
河合 裕美 神田外語大学, 児童英語教育研究センター, 准教授 (10716434)
池田 周 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (50305497)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | L2 WTC / L2 perceived competence / 英語運用能力 / 児童用英語力測定尺度 / カリキュラム開発 |
研究実績の概要 |
本研究は3ステージで展開する。まず、①新L2 WTCモデル構築と児童の発達段階を踏まえた英語運用能力尺度開発、②高学年に特化したL2 WTCおよび英語運用能力向上のための英語教育プログラム開発と実践および分析、③中学年に特化したL2 WTCおよび英語運用能力向上のための英語教育プログラム開発と実践および分析である。 2022~2023年度の2年間で、新L2 WTCモデル構築と評価尺度開発を行う。初年度である2022年は、日本人児童の聞く・話す能力、英語リタラシー能力の発達段階を踏まえた英語運用能力測定尺度を開発するため、就学前児童(年長児(5~6歳児))の言語運用能力の測定を試みた。具体的には、①文字認識テスト(アルファベットの大文字から小学1年生が誤りやすい12文字を選択し、それぞれに錯乱詞を加えた3択から正しいものを選ぶテスト)、②PVT-R絵画語彙発達検査(3~12歳の基本的な日本語語彙の理解力の発達度を短時間で測定する検査)、③日本語構音検査(日本語で使用される50音を網羅した単語を発音することで対象者の構音力を測定する検査)、④外来語検査(幼児の日常で使用する「スパゲッティ」等のカタカタ語10語を発音させる検査)、⑤英語発音検査(④で使用した10語を英語母語話者の後について発音させる検査)を使用し、年長児の言語運用能力を測定した(①④⑤は独自に開発、②③はそれぞれ上野・名越・小貫(2008)、今井・加藤・竹下・船山・山下 (2010)を使用した)。 調査は、2023年1~2月に行われ、A幼稚園の年長児53名を対象とした。調査の結果、平均7歳程度の発達語彙を持つ幼児の日本語・英語発音を確認し①発達段階の影響で発音が難しい音素があること、②母音発音、プロソディの難しさが顕著であること、③外来語の発音が英語に影響していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は、初年度に小学校の低・中・高学年の英語運用能力を測定する尺度開発を実施する予 定であったが、分担者と議論を重ねる中で、就学前児童の母語および英語に関する構音の程度を確認しておくことが賢明であるという判断をした。よって、初年度はそのための尺度開発および実態調査が加わり、その結果を分析する作業が加わった。 今年度は、上述の分析結果を踏まえ、小学校低・中・高学年用の英語運用能力の尺度開発に着手することになる。進捗状況の評価とすれば、未就学児の日本語力・英語力を測定するという当初の計画にない作業が加わったため、計画は遅れているということになるが、より学習者の発達段階にあった尺度開発が可能となったため「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策であるが、①児童の力を正確に測定する英語運用能力の測定尺度開発(基礎編:音韻認識・発音・語彙、応用編:聞く・話す、読む・書く)、②学年に応じたL2 WTCおよび英語運用能力向上のための英語教育プログラム開発、③時代に合った新しい児童用L2 WTCモデル構築、という3点の実現のために作業を進めていく。次年度は①に焦点化し、今年度の幼児を研究対象とした収集データに基づき、小学生用の尺度開発を実現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の実態調査は、今年度よりも対象校が増加するために使用計画を調整した。
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