研究実績の概要 |
日本では小学校外国語活動が必修化され,発達途上にある学習者にどのように英語を教えるのかという実証研究,実践報告が盛んに行われている。しかし,「読むこと」を実際にどのように指導していくのか,そのための学習環境や教材が整備されているのかといった学術的な問いは残されたままである。 本研究の目的は,リーディング力の育成に影響を与えると考えられる要因の中から3つ(環境要因,学習者要因,教科書要因)に焦点を当て,日本の小学校段階における「読むこと」の育成に必要となる学習環境,児童の情意面に配慮した指導法,小中連携を目指したリーディング教材を提案することである。 2022年度は,児童の外国語学習環境に関する先行研究を収集し (e.g., Butler & Le, 2018; Chen et al., 2022; Dong & Chow, 2022),調査方法やアンケート項目の検討を行った。家庭内外の学習教材の量や種類,保護者のリテラシー教育への関わり方やビリーフが児童の外国語能力にどのような影響を及ぼすのかについて整理を行った。 また,学習者の情意面の要因の中から本研究で特に焦点を当てる外国語不安および外国語リーディング不安に関連する資料を収集した (e.g., Hamada & Takaki, 2019; Li, 2021; 物井・羽根井, 2017; Saito et al., 1999)。教科書の調査については,韓国と中国の英語検定教科書を入手した。また,教科書分析に必要なリーダビリティに関する先行研究を収集し,どの尺度を採用するか検討を行った (e.g., Collins-Thompson, 2014; Lee & Lee, 2020; McNamara et al., 2014; Tijana, 2016)。
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