研究課題/領域番号 |
22K00748
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
川村 一代 皇學館大学, 文学部, 准教授 (00300286)
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研究分担者 |
藤田 賢 愛知学院大学, 文学部, 教授 (50804358)
中川 右也 三重大学, 教育学部, 准教授 (10551161)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 英語スピーキング / 対話能力 / スピーキングテスト / 面接型 / 対話型 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、英語初級レベル学習者の英語「対話能力」を評価するのにより適切なテスト形式を明らかにすることである。そのため、CEFR A2以下の中・高校生を対象に「面接型」テストと「対話型」テストを行い、それぞれのテスト形式で引き出される発話や談話がどう異なるのかを「対話能力」の構成概念に照らし合わせて分析する。 令和4年度は、先行研究の定義と中・高等学校学習指導要領の記述から、「対話能力」を、「互いに協力し合って、対話を継続・発展させる力」と定義づけ、対話を継続・発展するのに必要なスキルを、「順番交替」「応答」「質問」「話題発展」「修復」とし、予備調査ととして、「面接型」テストにおける中学生41人の発話を分析した。その結果、対話の全体像は、Storch (2002)の「熟達・初心者」型が41人中33人で、教師が生徒を助けながら対話を進めているケースが大半を占めることがわかった。対話を継続・発展させるために必要なスキルを調べたところ、教師が新しい話題を導入する「質問」や話題に関連する「質問」をして「話題を発展」させていることがわかった。また、生徒の発話に「応答」して意味の確認をすることがコミュニケーション・ブレイクダウンを防ぎ、コミュニケーション・ブレイクダウンが起こった場合は、教師が「修復」しており、「面接型」テストでは、生徒より教師の「対話能力」が引き出されていることがわかった。これらの結果から、「面接型」テストでは、生徒の「対話能力」を評価するのに限界があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中・高校生を対象とした「面接型」テストと「対話型」テストを実施するため、令和4年度に、中・高等学校の研究同意と研究代表者の所属先の研究倫理審査委員会の承認を得、予定通り、CEFR A2以下の学習者を識別するための日本英語検定協会の英検IBA(Institutional Based Assessment)、「面接型」テストと「対話型」テスト、英語スピーキングに関するアンケートを実施し、必要なデータを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、生徒の発話の文字起こしを行っているところであり、文字起こしが終わり次第、分析に入る予定である。 当初、「対話能力」を評価するという観点で「面接型」テストと「対話型」テストの比較のみを計画していたが、「対話能力」には情意の影響も大きいことが先行研究のレビュー等からわかってきたため、「対話能力」と「国際的指向性」「Willingness to Communicate」「自己効力感」との関係も調査することとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大予防の影響で、参加予定の学会がオンライン開催になったり、海外出張しにくかったため、旅費が使用できなかった。今年5月8日以降はコロナの規制がなくなるため、昨年度分の旅費を今年度と来年度の出張旅費に充てたい。
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